【ラグビーコラム】温かみに満ちた清宮監督退任会見、野心家は次に何をしてくれるか - SANSPO.COM(サンスポ)

試合
速報

【ラグビーコラム】温かみに満ちた清宮監督退任会見、野心家は次に何をしてくれるか

更新

監督業に一区切りをつけると表明した清宮氏。花束を受け取り、充実感をにじませた (撮影・奧村信哉)  【ノーサイドの精神】彼らしい、ウィットと温かみに満ちた会見だった。29日に開かれたヤマハ発動機・清宮克幸監督の退任会見。100人もの報道陣が訪れ、スポーツ専門チャンネルのJSPORTSが会見を生中継したほど、注目度は高かった。

<< 下に続く >>

 途中、水戸黄門になぞらえて退任理由を明かしたときには、和やかな笑いも起きた。黄門さまの清宮氏にとっての助さんが、新監督就任が発表された堀川隆延ヘッドコーチ、格さんが長谷川慎スクラムコーチだという。

 「そろそろ助さんに、黄門さまになってもらわなきゃなという思いがあった。(テレビドラマで助さん役の)里見浩太朗さんが黄門さまになったように。この男(堀川氏)にしっかりとした働く場所、大きな舞台を譲りたい。そう思って数年がたっていた」

 今後は、ヤマハ発動機のアドバイザーとして堀川新監督を支えるかたわら、今年のW杯会場である静岡・小笠山総合運動公園(エコパスタジアム)を拠点に、女性と子供に特化した一般社団法人のスポーツクラブ「アザレア・スポーツクラブ」の代表理事に就任。元日本代表WTBの小野沢宏時氏を監督に、女子の7人制チームも創設する。

 アザレアとは静岡県の花であるツツジのこと。同クラブの創設は、清宮氏が2016年から務めるW杯静岡県開催推進委員会特別アドバイザーとしての会合などで、関係者から「何かW杯のレガシー(遺産)となるようなものを残してほしい」と依頼され、考えたものという。

 「W杯のレガシーとしてラグビーだけをやる組織を立ち上げても、地元の多くの人たちの賛同を得られない。少し切り口を変え、女性と子供たちに特化した複合的な活動ができるスポーツクラブにして、スポーツ環境をよくしようという風にした方が、賛同してくれる人が増えてくれるのではないか」

 初年度はラグビーとボルダリングのチームを創設予定で、ラグビーは3月3日午後1時から同スタジアム補助競技場(予定)でトライアウト(ラグビー経験は不問、詳細はホームページ参照)を行うことも発表された。

 「W杯後のレガシー」とはいろいろなところで耳にする言葉だが、「10年後にはアザレアで10~20のスポーツができるようにしたい」と意欲を語る清宮氏のもとで何かをやりたいと集う人々は多い。小学校時代の野球チームに始まり、中学でのサッカー部、大阪・茨田(まった)高ラグビー部、早大、サントリーに、高校日本代表やU-23(23歳以下)日本代表と、あらゆるカテゴリーで主将を務めた親分肌。類いまれなリーダーに引っ張られるこのクラブが、レガシーとして最も成功し、浸透するのではないかと感じさせてくれる。

 「監督としての清宮はきょうが最後」

 清宮氏からは、そんな“宣言”もあったが、どうしてどうして、野心家の性分がどこで頭をもたげてくるか。指導者の道には戻らないとしても、何か日本のスポーツ界のエポックメーキングとなるようなことをやってくれるのではないかと、ひそかに楽しみにしている。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の58歳。

PR