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【ラグビーコラム】ホンダ・朴成基の成長で分かった発掘すべき素材は眠っている

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 【ノーサイドの精神】経験者やファンは当然ご存じだが、ラグビーは1チーム15人で戦う。球技の中では、多くの選手がピッチに立つために、野球でいわれる“エースで4番”1人だけでは、簡単には勝つことができない。別の見方をすれば、上位チーム以外にも能力の高い選手が潜んでいる。

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 9日に行われたトップリーグ(TL)総合順位決定トーナメントのキヤノン-ホンダで、この“定説”をあらためて認識させられた。ホンダの司令塔として先発したのは、入社4年目の朴成基(25)。大学選手権で今季10連覇を狙う名門・帝京大ではキックを武器に主力メンバーに食い込んだが、その一方で先発を外れる試合もあった。

 今季のホンダでも、10番を背負えなかった試合も少なくはない。過去にユース世代も含めて代表とは無縁の朴だが、この試合では、キヤノンの司令塔で日本代表でも不動の司令塔に君臨する田村優(29)を目立たせないほどの輝きをみせた。

 GK6本中5度を成功とキックは定評通りの結果をみせた一方で、フィールドプレーでは、積極的にBKを動かし、キヤノンの防御を撹乱(かくらん)。相手が素早い防御を仕掛ければ、巧みなチップキックで防御の裏を突いた。

 朴は「BKが外から、いろんな(指示の)声を出してくれたんで、いい流れでプレーできた」と控えめに語ったが、オフシーズンの武者修行がプレーの幅を広げたのは間違いない。

 今春に、オークランド(ニュージーランド)を拠点とするスーパーラグビー(SR)のブルーズに3カ月留学。平日の練習はレギュラーに交じり、週末は地元クラブ、ブルーズの若手チームで試合を重ねた。「ブルーズの練習だけじゃなく、生活もともにして学びました」と、SRクラスの選手のラグビーに取り組む姿勢も吸収した。

 もちろん、現時点で朴が日本代表のジャージーを着るためには、多くのハードルを越える必要がある。だが、77分間の朴のプレーから学ばされたのは、まだ発掘するべき素材は眠っているということだ。

 日本で開催されるW杯開幕まで300日を切った。多くの代表メンバーを入れ替えたり、新たな選手を発掘する時期ではないのだが、現在の代表主力メンバーの層の薄さを考えると深刻だ。今秋の代表戦でも、松島幸太朗(25)=サントリー、野口竜司(23)=パナソニック=が相次いで負傷離脱したFBで人材不足を露呈。SOでも田村が負傷すれば、FBと同じ問題が浮上する。

 TLは今週末のトーナメント最終戦と準公式戦のカップ戦トーナメントを残すだけになったが、代表選手のセレクションは積極的に続けるべきだろう。現有戦力の経験値を上げるのと同時に、可能性を秘めた素材を発掘して磨き上げる作業を続けなければ、チームとしての成熟は難しい。

吉田 宏(よしだ・ひろし)

「吉田 宏」イメージ画像 元号が平成に変わった年に入社して、1995年ラグビーW杯後から、サッカー、野球担当を挟みながら現担当。“軟式ラグビー(自称)”出身で、こちらも自称の江戸川キャップ2を誇る。99年W杯の報道陣による南北半球決戦・プレスマッチで、なぜか南半球の一員で世界制覇を果たして現役を引退してからは、書き手専門で楕円(だえん)球を追う毎日。

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