【ラグビーコラム】世界クラスを証明したリーチ・マイケル、体を張り続ける男たちの姿を見よ - SANSPO.COM(サンスポ)

試合
速報

【ラグビーコラム】世界クラスを証明したリーチ・マイケル、体を張り続ける男たちの姿を見よ

更新

日本代表・リーチマイケル主将  【ノーサイドの精神】ラグビー日本代表は、26日に英国遠征から帰国した。世界選抜とのノンテストマッチを含めて、今秋の試合は1勝3敗で終えたが、主将のFLリーチ・マイケル(30)=東芝=が、世界クラスの選手だということをあらためて証明した。

<< 下に続く >>

 英国でのイングランド、ロシア戦で3トライ。辛辣(しんらつ)で知られる英メディアも、敗れたイングランド戦の個人評価で10点満点をつけたほどに能力を輝かせた。

 今秋の代表戦は全4試合でフル出場。相手との激突が多く、体力の消耗が激しいFLでは驚くべきプレー時間だが、そのリーチ主将が英国で何度も名前を挙げた日本人選手がいた。リーチが“キンちゃん”と呼ぶその男の名は大野均だ。

 「キンちゃんは、(2015年のW杯)イングランド大会のとき37歳?。いま(自分は)30歳。まだまだいける。」

 日本ラグビー界の鉄人は、40歳となった今季も現役としてリーチと同じ東芝のLOとして活躍する。16年6月のスコットランド戦を最後に代表戦からは遠ざかるが、残り2となった日本選手初の代表100キャップも諦めていない。

 だが、リーチ主将が大野を引き合いに出すのは、年齢や日本最多の98キャップという数字のためではない。どんな苦境でも黙々とプレーを続け、密集戦に頭を突っ込む。“しんどい”プレーから逃げない。代表でも東芝でも、すべての選手が“若手”だが、「代表に入ったばかりの若い選手があれだけ頑張っている。だから自分も頑張らないと」と笑って、後輩たちに交じり、厳しい練習に打ち込むのが大野という男だ。

 農耕民族である日本人を象徴するように、地道でひたむき、そしてなにより粘り強い。その姿が、ニュージーランド(NZ)生まれのリーチの心を揺さぶるのだ。そのリーチも、高校1年から日本に住む。もちろん、圧倒的な身体能力はNZ人の父、フィジー生まれの母からの贈り物だが、トップクラスのラグビー選手に成長したのは日本だという自負を持つ。

 開幕まで300日を切ったW杯日本大会へ向けて、リーチ主将の存在感はさらに高まるだろう。それでも「リーチはNZ出身だから」という見方をしてはいけない。日本代表が誇るスキッパーの世界も魅了するランやタックルは、大野はもちろん、リーチとともに戦ってきた日本の選手たちの、ラグビーにかける思いや姿勢が原動力の一部なのだ。リーチという選手は、そんな選手たちの姿を見て、多くのものを学べる感受性の持ち主だ。

 リーチと大野が所属する東芝は、残念ながらトップリーグ(TL)の優勝争いからは脱落した。9-16位トーナメントに参加するのだ。快進撃を続けるチームによる優勝争いや、生きのいい有望若手選手のいるチームを観戦するのもいいが、どんなに順位が下位でも、ひたむきに、激しく、体を張り続ける男たちの姿を見るのもラグビーの楽しみ方。TL総合順位決定トーナメントは、今週末の12月1日に開幕する。

吉田 宏(よしだ・ひろし)

「吉田 宏」イメージ画像 元号が平成に変わった年に入社して、1995年ラグビーW杯後から、サッカー、野球担当を挟みながら現担当。“軟式ラグビー(自称)”出身で、こちらも自称の江戸川キャップ2を誇る。99年W杯の報道陣による南北半球決戦・プレスマッチで、なぜか南半球の一員で世界制覇を果たして現役を引退してからは、書き手専門で楕円(だえん)球を追う毎日。

PR