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【ラグビーコラム】W杯3連覇を狙うNZ代表、世界最強チームの強さを日本遠征で見た

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NZ対豪州戦の後半、独走しトライを決めるNZ代表のベン・スミス  【ノーサイドの精神】来年開催されるラグビーW杯日本大会で3連覇に挑むニュージーランド(NZ)代表オールブラックスが、今週末の11月3日に東京・調布市の味の素スタジアムで日本代表と対戦する。日本がどこまで戦えるかに注目が集まる一方で、胸を貸す最強軍団のユニークな遠征に注目した。

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 10月末から11月の代表戦期間で、NZは日本で豪州、日本と対戦した後に、欧州に渡りイングランド、アイルランド、イタリアと戦う。遠征メンバーは通常の30人前後をはるかに上回る51人。正代表32人プラス19人(29日現在、LOルーク・ロマノが離脱して18人)のワイダースコッドと呼ばれる日本戦用の若手メンバーが加わる布陣だ。

 チームは、27日の豪州戦、日本戦ごとに宿舎を変更。日本での滞在期間は選手により異なるが、日本で約2週間を過ごしている。

 この長期滞在は、もちろん来年のW杯を想定したものだ。W杯で使用する2つの宿舎に泊まり、練習グラウンド、今回とW杯でも試合会場となる神奈川・日産スタジアム、東京スタジアムへの移動を選手に体感させることで、1年後に選手が感じるフラストレーションや緊張をできる限り軽減させようというたくらみだ。

 豪州戦翌日、スティーブ・ハンセン監督は「このホテルで過ごして、素晴らしい設備で準備ができた。バス移動も心配したが、実際体験でき、日本の文化も体験できた。こういうもの1つ1つの要素すべてが、われわれにはいい準備になる」と満足そうに語った。

 大所帯のメンバーも、最強軍ならではの工夫だ。豪州戦、日本戦の後に待ち受けるイングランド、アイルランドは、欧州トップ2の実力チーム。ライバル豪州と、この2つのビッグマッチの間に行われる日本戦で、主力メンバーの負担を極力減らしたいという思惑が、“ワイダー”の編成につながった。

 しかも、単なる一軍の遠征に二軍を加えた編成ではないのが興味深い。主力の23人は、日本戦前には欧州に先乗りする。そして、残されたメンバーから10人前後の選手が後発組として欧州に向かうのだ。つまり、正代表として発表された32人のうち欧州に先乗りできない選手がいる。そして“ワイダー”の18人は、欧州組への大抜擢(ばってき)という野望を持ちながら、遠征に参加している。

 来日前に発表された正代表と“ワイダー”のメンバーが入れ替わることは、相当難しいだろう。それでもハンセン監督の組んだ遠征スケジュールとメンバー選考方法が、主力メンバーでも気が抜けず、若手には欧州行きへの挑戦という2つのモチベーションを作り出している。

 たとえ“ワイダー”メンバーから欧州組に昇格できなくても、正代表のスター選手とW杯開催地で生活、練習を共にすることで、W杯出場への思いを高めさせることができれば、最強軍団の選手層が厚みを増すのは間違いない。

 史上初のW杯連覇を果たし、3連覇という金字塔を狙うNZ代表。勝つための万全の準備を怠らない姿勢と計画性から、世界最強チームの強さを垣間見ることができる。

吉田 宏(よしだ・ひろし)

「吉田 宏」イメージ画像 元号が平成に変わった年に入社して、1995年ラグビーW杯後から、サッカー、野球担当を挟みながら現担当。“軟式ラグビー(自称)”出身で、こちらも自称の江戸川キャップ2を誇る。99年W杯の報道陣による南北半球決戦・プレスマッチで、なぜか南半球の一員で世界制覇を果たして現役を引退してからは、書き手専門で楕円(だえん)球を追う毎日。

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