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【ラグビーコラム】さらにボールを動かせ、代表候補合宿で見えた日本の戦い方

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ランニングセッションに真剣に取り組む稲垣(左)。右は田中  【ノーサイドの精神】来年9月20日開幕のW杯まで、あと1年を切った。日本代表は9月24日から和歌山県内で候補合宿中(26日まで)。実質的な初日だった25日はほとんどボールを持たず、午前中にフィットネステスト、夕方に1時間程度、かなりハードなフィットネス練習と、ランニングメニューに終始した。残りの時間は「ワークショップ」と呼ばれる“頭のトレーニング”に費やした。

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 そこで、ジェイミー・ジャパンがW杯でいかに戦うかの骨子が見えてきた。2015年W杯でも主力だったPR稲垣啓太(パナソニック)は言う。

 「自分たちが一番疲れている時間帯に、どれだけマックスのスピードやパワーが出せるかにフォーカスした」

 全員がGPS(全地球測位システム)をつけ、心拍数や走行距離など普遍的な数値のほか、20メートルを最大限の強度で走った回数なども記録される。この数値を練習後、選手たちはモニターで確認した。稲垣はさらに言う。

 「全員がその数値の意味を理解することによって、自分に何が足りないかを知ることもできる。今回のランニングセッションの意味合いは、『疲れているから動かない』ではなく、一番苦しい時間帯に自分のマックスを出せるかどうかはまず、マインドから入っていくものだと思う。疲れているときに動かせるだけのマインドを、常に持っていなければいけないということ。そういったマインドはすぐに身につくものではなくて、毎回のこういった苦しい練習を全員が共有して、全員を引き連れていくようでないと向上しない」

 ワークショップでは、そんな「マインド」についても話し合われた。

 ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチは「6月のテストマッチは2勝1敗。それ自体は悪い成績ではなかったが、初戦でイタリアに勝った後、2戦目では負けた。その試合は後半最後の20分間のパフォーマンスが悪かった」と総括。「こういう波があっては、W杯では勝ち切れない」と断じた。勝負どころに入る後半20分以降もプレーの精度や運動量を落とさないことを求めた。

 稲垣は「日本としては戦術的にさらに積み上げるために、ボールを動かしている時間をもっと増やしたい。これは味方だけでなく、相手がボールを持っているときでも。常にゲームを切らずに動き続ける、プレータイムを増やしたいんです」と話す。そのためには、苦しい時間帯でも高い強度をもって走り続けることが必要で、今回の合宿がこういった形でスタートしたことが、W杯へのメッセージだ。

 ニュージーランド、イングランドなどと対戦する11月のテストマッチで、この戦い方は試されるのだろう(ロシア戦は手の内を見せないかもしれないが)。W杯で当たるアイルランド、スコットランドの格上チームを破っての8強は、生半可な努力では届かない。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の57歳。

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