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東西で活躍する桂春蝶が演じる命の創作落語/週末エンタメ

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命をテーマにした創作落語に取り組んでいる桂春蝶=東京都内  落語家、桂春蝶(43)が、沖縄戦のひめゆり学徒隊を題材にした創作落語「ニライカナイで逢いましょう~ひめゆり学徒隊秘抄録~」を演じて反響を呼んでいる。

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 春蝶は関西で人気を博した故二代目桂春蝶さんの長男で、上方落語の四天王の1人、故三代目桂春団治さんの弟子。1994年に入門し、2012年から東京にも進出して東西で活動している。

 14年から史実に基づいた「落語で伝えたい想いシリーズ」を発表し、「ニライカナイ-」は4作目。元学徒隊員や元看護師らに直接取材したエピソードを基にした約1時間の落語で、戦争を回想する元看護師の視点で命の尊さを訴えている。

 明るい芸風の春蝶だが、昨年1月に同作を初演以来、演じるたびに全国の観客の涙を誘う。当事者ではない自身が沖縄戦を題材にした落語を演じることに不安もあったが、「沖縄公演で『祖父母から聞いていた戦争の話と同じ空気があった』と言ってくれたお客さんがいて、演じるのを許してもらえたような気持ちになった」。来場者からは「生きるのがつらかったけど、命を大切にしたい」という思いがけない手紙が何通も届いた。

 笑いがない、命をテーマにした落語を演じるに至った原体験は、小学生のころ。うつ状態だった父が「死にたい」と漏らすのを聞き、幼心に命について考えさせられていた。高校3年のときに父が病死したことをきっかけに落語家になったが、結婚して父になり、自身の父が名乗った春蝶の三代目を9年前に襲名したことで、「春蝶の第三走者として自分の心の奥底のものにあるものを表現したい」と構想した。

 「この落語のための取材では、僕がつらいことを聞いているのに、笑いながら話す人がいた。理由を聞くと『ずっと泣いてきたからだ』と言っていて、笑っていても『笑顔』ではない。苦しみは突き抜けてしまうと、こういう表現になるのか」

 一部から「戦争を美化している」と揶揄されたこともあったが、「まずは一度聞いてもらいたい」と強調。「戦争で極限の状態を生きた人たちの話をすることで、現代の人が抱える悩みの解釈を変えるような噺に成長させたい。生きているからこそ、悩めたりするもの。そんな人たちに寄り添えたら」と話した。

 今後は、6月23日に神戸市の三宮シアター・エートー、7月21日に福岡・筑前町立大刀洗平和記念館、8月10日に大阪市のピースおおさかで公演。終戦の日の8月15日は、東京・渋谷のユーロライブで「渋谷らくご」の特別公演で演じる。(小山 理絵)

桂春蝶(かつら・しゅんちょう)

1975(昭和50)年1月14日生まれ、43歳。大阪府出身。1994年、三代目桂春団治に入門し、桂春菜を名乗る。2009年、三代目桂春蝶を襲名。ラジオ関西「桂春蝶のバタフライエフェクト」(火曜前10・0)、TOKYO MX「激論!サンデーCROSS」(日曜前11・59)などに出演。夕刊フジでコラム「桂春蝶の蝶々発止」を連載中。

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