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【甘口辛口】「忘れない」ハハコグサの花言葉を知ったきっかけ

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 ■3月15日 自宅から1駅分を歩いていると満開のハクモクレンに目を奪われた。休みの日に近くまで行くと、背の高い2本と低い1本が寄り添うように白い花をたくさん咲かせていた。父と母と子が並んでいるようにも見えた。花言葉は「気高さ」「慈悲」「自然な愛情」など。どれも“3人家族”のハクモクレンにふさわしい言葉に思える。

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 ハハコグサという植物がある。春の七草のひとつ、ゴギョウ(御形)のこと。母子草の花言葉は「いつも思う」「無償の愛」「忘れない」…。どれも母の子への愛を思わせる。実は「忘れない」という花言葉を逆引きしてハハコグサを知った。3・11の前後に読んだ2つの小説が影響していた。

 「ムーンナイト・ダイバー」(天童荒太、文春文庫)は、東日本大震災から4年半がたった福島第一原発近くの海に潜り、被災者たちの遺品を回収する主人公とその家族らの心の救済を描く。

 「夢の検閲官」(筒井康隆、新潮文庫)は、自殺で息子を失った母が見る夢に、安眠を妨げ、悲しませる者たちが直接現れないよう、歪曲(わいきょく)、すり替え、象徴化などに苦心する夢の検閲官の話。息子をそのままの姿で夢に送り出すラストは、やさしさにあふれ感動的だ。

 残された人が、時間をかけて亡くなった愛する人の死を受け入れつつも忘れずに生きる。それが心の救済につながる-と小説2編を読んで思った。天童荒太は文庫版のあとがきに「生きている人たちが、幸せになることこそが、失われた命に向けての、誠実な祈りになる」とつづっている。2編の小説にもハクモクレン、ハハコグサの花言葉にも「愛」がある。8年目の3・11を経て、感傷的になる自分がいた。 (鈴木学)

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