【甘口辛口】厚い壁にはね返された藤井七段 一手一手に人生かかる順位戦、実りある“留年”にしてほしい - SANSPO.COM(サンスポ)

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【甘口辛口】厚い壁にはね返された藤井七段 一手一手に人生かかる順位戦、実りある“留年”にしてほしい

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 ■3月7日 さすがの藤井聡太七段も順位戦の厚い壁に、はね返された。8勝1敗で4人が並んだ将棋順位戦C級1組の最終局。「自分が勝ち、順位が上位の3人のうち2人が負け」という厳しい条件は師匠の杉本昌隆八段ら上位3人がそろって勝ち、他力頼みの藤井は勝ったものの、2人しか上がれないB級2組への昇級はならなかった。

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 4人が9勝1敗というまれにみるハイレベルの争い。50歳で再昇級を果たした杉本八段は「今期は藤井七段がいたから昇級を争えた」と話したが、まさに藤井効果のレベルアップ。ある棋士は「これまで守りに徹していた杉本さんがのびのびと攻めまくっていた。将棋の質が変わったように見えた」という。

 先月の朝日杯オープン戦決勝で藤井は渡辺明棋王に完勝して2連覇を果たした。渡辺はその後、挑戦していた王将戦第4局で久保王将にストレート勝ちしタイトル奪還で2冠になった。B級1組でも11連勝中でA級復帰を決め、目下最強といわれる渡辺に勝った藤井をもってしても昇級は難しいのだ。

 順位戦はどのクラスに属するかで対局料などに影響し棋士の基盤となる棋戦。前出の棋士はいう。「一手一手に人生がかかるのが順位戦。一つ一つ順位を上げていけば報われるときがくる。ベテランになっても順位を死守していれば生活できる救済制度でもある。1年単位ではなく一生泣き笑いの続く戦いといえる」。

 そんな順位戦の重みの前に藤井は初めてつまずいた。ノンストップでA級まで駆け上がり十代で名人戦挑戦権獲得、という夢も消えた。しかし、今後の長い棋士人生を思えば貴重な経験でもある。サクラは咲かなかったが、実りある“留年”にしてほしい。 (今村忠)

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