【虎のソナタ】幻の虎投ホームラン競争 居残り・藤浪ら打つはずが…
更新
朝。チーム本隊はDeNAとの練習試合が行われる宜野湾に向かった。「佐藤輝もいない。井上もいない。居残り組で原稿なんて作れるのかなぁ。試合のある宜野湾に行きたかったなぁ」とボヤキながらキャンプ地・宜野座へ向かったのはトラ番・織原祥平。練習メニューを見て、俄然、目を輝かせた。
チェン、シート打撃登板。「これ、いいなぁ。十分に原稿になるぞ」。さらに、その下に書かれていた「ホームラン競争」という文字が飛び込んできた。
「これ、最高にいいじゃん!」(織原は埼玉県民なので関西弁は全く出ません)
野手陣がビジター球場へ出かけた隙(?)に、投手陣がメイン球場で打撃練習をするのはキャンプ恒例だが、「ホームラン競争」までやってくれるとは。
高校時代は四国のゴジラとまで呼ばれた秋山さんが本命かな? でも、藤浪さんだってよく飛ばす。公式戦で満塁ホームランも打っているし…。
楽しい記事が書けると妄想を膨らませ、その瞬間を待っていた。だが、しかし。織原に悲劇は訪れた。折からの強風が吹き荒れた日本列島。南の島も例外ではなかった。寒さの影響で、チェンはシートで投げない。藤浪たちはメイン球場で打たない。構想は完全にパー。
「あ~ぁホームラン、見たかったなぁ」
織原記者が呆然としている頃、「打つべき人」が打っていた。DeNA戦出場のスーパールーキー佐藤輝が、宜野湾球場のスコアボードを跳び越す“規格外”のホームラン。推定140メートルだとか。
目撃したトラ番キャップ長友孝輔は「各社のトラ番記者は全員、打球を見失いました。DeNAの選手も、何が起こったんだという感じでビックリ仰天。バケモノです」と絶句。キャンプ本拠地で次々と伝説を塗り替えているドライチ君は、いよいよ相手球場でも新伝説を作り始めたわけだ。
昨日は、地上波はもちろん放送されなかったし、CS放送でも、その瞬間は流れなかった。唯一のリアルタイム観戦はDeNAキャンプのネット中継。かなりの虎党たちが一斉に? DeNAファンしか見ない(?)ネット中継に加入したはず。
当然ながら、DeNA側に立って、贔屓の引き倒しになるんだろうなぁと思いながら観ていたら、これが意外なことに…。元TBSの林正浩アナウンサーは「もう一度、先ほどの佐藤輝のヒットを観ることができますか」「これが佐藤輝の2本目のヒットです」という具合に、われらが“希望の星”を、何度も映し出してくれたのだ。
阪神のキャンプ中継で、相手のドラフト1位の打撃を何度もリプレーするなんて、あり得るんだろうか? 逆に言えば、それだけ佐藤輝の存在感が全国的に上がってきている証拠だろう。
慎重派やマイナス思考の虎党の意見を、次々と粉砕してくれているところも小気味いい。先日も書いたが「左腕を打てなければ…」という声を一瞬で吹き飛ばした。一線級投手と対戦してみないと分からん、という声もあったが、18日の相手先発・大貫は昨年の10勝投手。「サードは守れるんか」という意地悪な声も、サードでスタメン出場して一蹴!
えっ、サードに1球も打球が飛ばなかった?! 細かいことは気にしない。気にしない。