【虎のソナタ】規格外?支離滅裂?なヤツの記憶 居てほしいような居てほしくないような新庄氏
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11日に吹き荒れた春の嵐。その余韻を残す沖縄地方は、朝からまだまだ風が強かった。ずっと滞在していたトラ番たちにとっては、ちょっぴり寒さを感じる気候。グラウンドも半渇きの状態。午前中に開始予定だった紅白戦も午後1時半にずれ込んだほどだった。
そんな南の島に、ことし初上陸したのはトラ番・菊地峻太朗。
「暖かいなあ。沖縄ってホントにいい。安芸とは大違いだ」
2月1日から、高知のタイガータウン・安芸で2軍キャンプを取材していた菊地は、毎日極寒に震える日々を送っていたらしい。
「安芸も日中は陽が当たるから大丈夫なんですが、陽が沈んで取材時間の頃になると、もう寒くて。去年までなら、安芸ドーム内で暖を取って待つことができたんですが、ことしはコロナ禍の感染対策で、ずっと屋外で待つんですよ」
遠い昔のタイガースのキャンプ地は、1軍も安芸だった。春のキャンプといえば、寒さに体を硬直させながら、選手を待っている時間の記憶ばかりが蘇ってくる。
キャンプ地が沖縄になって、しみじみ感じた。人間にとって、暖かさがどれだけ大切か。どれほど体が楽になるか。今さらだが、キャンプ地を沖縄に移してくれた故星野仙一監督には、いくら感謝しても、し足りない。
--安芸キャンプを見た菊地記者の一番印象に残った選手は?
「う~~ん」
なかなか答えが返ってこない。えっ、誰もいないのか?
「う~ん、う~ん。誰かなぁ?」
--では、質問を変えよう。沖縄入りして、たった半日だけれど、一番印象に残ったのは?
「それは新庄さんです。すごいオーラでした。それに、すごく楽しそうです」
即答だった。即答はいいんだけれど、現役のタテジマではないというところが寂しい。
そうかぁ。久しく会っていないが、新庄氏はそんなオーラを放つ人物になっているのか?
まあ、昔はオーラはなかったが、華はあった。何をしゃべっても大きな記事になった。シーズン中は、あんまり打たないから原稿にならない日も多かったが、寒かった安芸キャンプ中は間違いなく、毎日が主役だった。
「キャンプ休日の明日は、もちろん休み返上です。朝から夕方まで打ちまくりますよ」というから、安芸球場で早朝から待っていたら、来たのは午後5時。どれだけ待たせるんや!
その直後、着ていた当時セリエAの強豪ACミランのTシャツを「カッコいいやん」とホメると「サッカー選手になるつもりです」。はぁ?
始まったマシン打撃はなぜかすべて流し打ち。「僕は決めたんです。これからずっと右にしか打ちません」。マジ?
あなたならどの発言で原稿を書きますか? とにかく、すべてに規格外、というか支離滅裂。理解しようとする方が頭が痛くなった。
ちなみに、翌日の打撃練習。「これからホームランを狙いたい」とガンガン引っ張りまくっていた。流し打ち宣言は、一晩寝て忘れたらしい。
令和の時代に、居てほしいような、居てほしくないような…。とんでもないヤツの記憶を辿りつつ、私が応援したいのは、マジメに練習している、今のタテジマ戦士たちです。ハイ。