【虎のソナタ】懐かしくなってきた鳥谷イズム 戻ってきて若虎に野球学叩き込んで - SANSPO.COM(サンスポ)

【虎のソナタ】懐かしくなってきた鳥谷イズム 戻ってきて若虎に野球学叩き込んで

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虎は守りでミスが続出。守備の名手・鳥谷に教えてもらいたい  TVの人気シリーズ「相棒」の杉下右京じゃないが、若い頃からズッと気にかかっていたことがあった。

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 それは、阪神が日本一になった1985年の、誰もが燃えた列島大フィーバー。広岡西武までなぎ倒した猛虎劇場の日本シリーズ(4勝2敗)ってどこにポイントがあったのか…ということだ。

 そんなの今頃ほじくり返したって、時間はドーにもならんじゃないかといわれるかもしれないが、そんなことは断じてない! 勝負事は何かホンのちょっとしたきっかけで勝負のメンタリティが180度逆流する。

 で、なぜかフトそんなことが気になった。吉田阪神のリーグ優勝が10月16日(神宮)。もう浪花の街は大騒ぎ。62人が道頓堀に飛び込む。その喧騒のなかで、阪神は掛布と岡田が2人だけで真剣にソッと酒を酌み交わしていたのだ。

 掛布雅之、12年目で30歳。彼は選手会長だったこの年、全試合フル出場をはたし、シリーズ直前に岡田を珍しく酒に誘った。その時、6年目の岡田彰布は27歳。打率・342はバースに次ぐ好成績だった。

 「今年の日本シリーズは選手会だけで合宿をせんか」と掛布。えッ? 岡田の目がパッと輝く。掛布はたたみかけた。

 「次(来年)の選手会長はお前がやれョ」

 その場に筆者は居合わせたわけではないが、そのあとの芦屋・竹園での異例の「シリーズ直前の選手会主導の合宿」、そしてきびきびとした選手リーダーとなった岡田の動きを振り返るとき、この2人の決意が何をもたらしたかわかる。

 余談だが、最近のNHK朝の連ドラ「エール」で ♪六甲おろしに颯爽と…と、球団職員・掛田寅男役を笑顔で演じていた掛布氏が、アノ時はどれほど思い詰めていたことか。

 なぜ突然、こんな話を持ち出したのかといえば、実は3年前の9月8日は鳥谷敬選手が阪神でプロ野球史上50人目、藤田平に次ぐ生え抜き2人目の2000安打を達成した日なのだ。

 入団時から将来を嘱望されたエリートは、そのストイックさと数々の伝説で常に打撃職人の孤高を守っていた。そのために苦労もした。この日、甲子園の記者席でセ、パ両リーグでの取材が長い司令塔役のサブキャップ安藤理はシミジミと「鳥谷さんは実は意外とナインには明るい方という印象だったんですが」という。が、自分にきまじめで厳格。ここ数日は引退でサンスポの紙面をにぎわした藤川球児。藤浪晋太郎投手の苦悩。高橋遥人への熱い期待。最終版紙面の派手さのなかで、運動部長大澤謙一郎はソッとロッテの記事を探している。

 猛虎の歴史を彩った鳥谷は代打、そして三塁守備、打率・105という数字が辛い。連日、紙面づくりに苦労している部長大澤はくぐもった声で「タイガースもまた端境期なんですから。遥人にとことん期待をかけ続けるべきなんですヮ」と声を振り絞っていたが…。虎はディフェンスで巨人に挑むが、浜風は気まぐれだ。

 皮肉にも甲子園は台風の置き土産みたいな風が舞う。いつもの六甲おろしはどこにいっちまったんだ。

 その昔、鳥谷は堅実な守りでリーグを席巻したのだ。

 おーい! 今からでも戻ってきて、シビアな野球学のノウハウを若虎たちに叩き込んでもらいたい。どんなときにもニコリともせず自分を鍛えた鳥谷イズムが懐かしくなってきた。

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