【持ち回り編集長】3年連続日本一常勝軍団の礎 育成の鷹の秘密 - SANSPO.COM(サンスポ)

【持ち回り編集長】3年連続日本一常勝軍団の礎 育成の鷹の秘密

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育成出身の千賀。なぜソフトバンクはこれほどまで“金の卵”を発掘できるのか-  新型コロナウイルス感染拡大の影響で活動を休止していたソフトバンクは、きょう9日から自主練習を開始する。3年連続日本一の常勝軍団を支えるのは育成出身の選手たちだ。“育成の鷹”の秘密とは-。竹村岳記者(25)が永井智浩編成育成本部本部長兼スカウト・育成部部長(44)を取材。各球団の担当記者がプロデュースする企画の第6弾としてお届けする。

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 千賀滉大、甲斐拓也、周東佑京-。3人はいずれも3桁の背番号から「侍ジャパン」の戦力にまで成長した。3年連続日本一の常勝軍団の育成の秘密はどこにあるのか。永井編成育成本部本部長兼スカウト・育成部部長に聞いてみた。

 「(育成選手は)何人までというルールがないので、人数の強みはあります。支配下の枠を取っ払うと、うちは90人近くいるので、分母の大きさはあると思います」

 今季、育成22選手は巨人の24選手に次いで12球団で2番目。支配下を合わせて89選手を保有している。2011年から導入した3軍で主に経験を積ませ、それぞれの課題を明確にしていく。ただ潤沢な資金を使った「人数」も「構造」も、スカウトの眼力とドラフト戦略があるからこそだ。

 「『選手の能力=ドラフトの順位』ではないんです。他球団のどこのスカウトも見つけていない選手なら、上位で指名をする必要がありませんから。そういう(他球団の)情報を集めることも、スカウトにとっては大事なこと」

 柳田悠岐を2位で指名した10年秋のドラフト会議。このとき、千賀を愛知・蒲郡高から育成4位で、甲斐を大分・楊志館高から育成6位で指名している。隠れた才能を独自に見つけることで、育成枠の下位でも指名できる。それだけの眼力と情報網がスカウト陣に備わっていると強調した。

 現在、アマチュアスカウトは9人。他球団に比べても「平均的」な人数だというが、週に1度は電話で地域別、年齢層別の情報や大会での成績を共有。月に1度は顔を合わせてミーティングを開催している。支配下の枠で指名するなら、求めるのは戦力としての総合力。一方で育成枠は「ひとつ秀でていればいい。スカウトも推薦しやすい」。甲斐なら肩、周東なら足-。原石を見つけ、たたきあげる環境と人材が鷹にはある。

 「分母が大きくなると強いということを、ホークスの成績をもって証明できたら。戦力にまで成長するのは、選手自身の頑張りですから」

 常勝を義務づけられているからこそ、投資は惜しまない。夢をつかもうと汗を流す若鷹が秘める可能性は無限だ。

★育成経験選手は67人中12人に

 ソフトバンクは3月16日、尾形崇斗投手(20)と砂川リチャード内野手(20)を支配下登録した。尾形はオープン戦で5試合11イニングを無失点。リチャードも22打数で2本塁打と長打力をアピールした。これで今季の支配下67選手のうち、育成ドラフトあるいは育成を経験している選手は12人となった。

★育成選手

 連盟選手権試合(ペナントレース公式戦)へ出場可能な支配下登録を目指し、野球技能の錬成向上およびマナー養成を目的として契約する選手。支配下登録65選手以上を抱える球団が指名、獲得ができる。最低年俸は240万円で背番号は3桁。2軍の試合に限り1試合5選手まで出場が可能。育成選手の保有人数制限は定められていない。

★編集後記

 「育成」という言葉に、読者のみなさんはどんなイメージがあるだろうか。球界のエースにまで成長した千賀に「育成出身として、希望を与えていきたいか」と質問すると、覚悟の言葉が返ってきた。

 「『育成』というのはただの契約の形であって、そんなに格好いい言葉じゃない。自分の中では『底辺』なので」

 背番号が3桁では1軍の試合に出場できないだけでなく、パレードなどの優勝セレモニーや春季キャンプの歓迎セレモニーにも参加できない。年俸などをはじめとした待遇面に加え、支配下選手との明確な「線引き」が、現実として突き付けられている。

 周東は育成時代、野球道具も先輩からもらってプレーしていた。「釜元さんのグラブは今でも使っています」。潤沢な資金だけでなく、底なしのハングリー精神が鷹を強くしている。(ソフトバンク担当・竹村岳)

竹村 岳(たけむら・がく)

 1995(平成7)年3月14日生まれ、25歳。滋賀県出身。2017年に入社し、阪神担当を経て20年からソフトバンク担当。171センチ、62キロ。10キロのランニングが日課。好きなロックバンドは「UVERworld」。

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