【球界ここだけの話(1930)】DeNAファンへ…石川の名シーンの“背景” - SANSPO.COM(サンスポ)

【球界ここだけの話(1930)】DeNAファンへ…石川の名シーンの“背景”

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通算1000安打を達成し声援に応えるDeNA・石川=2019年8月4日、横浜スタジアム(撮影・斎藤浩一)  プロ野球の開幕は依然として先が見えない状況が続いている。コラムを書くにあたり、浮かぶテーマも自然とネガティブなものになってしまう。

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 だが、「こんな時に何をのんきな…」という声もあるかもしれないが、「こんな時」だからこそ、開幕を待ちわびるDeNAファンに、ある選手の熱い思いを届けたいと思う。その男は石川雄洋内野手(33)だ。

 生え抜きとしてチーム最古参の入団16年目。DeNAの初代主将で、人望の厚さは小欄でも紹介させてもらった。その石川が昨年8月4日の巨人戦(横浜)で通算1000安打を達成したのはファンの記憶に新しいと思う。節目へのカウントダウンが始まったころ、DeNA担当だった私は大台への思いを石川に聞いた。

 「意識していないっすよ。まずは試合に使ってもらっていることに感謝です」。サラリと答えた石川に食らいつき、打席内で大切にしていることを聞いたときに石川のプロとしての矜持(きょうじ)を見た。

 「それは出塁することですよ。四球で塁に出られたらうれしいし、それができなかったとしても、何とか走者を次の塁に進めたい。それはずっと変わらない気持ち」。即答した“チームファースト”の男は続けた。「だから、1000安打は(順位確定後の)消化試合で打ちたくない。チームに貢献するような安打で決めたいです」と本心を明かしてくれた。

 石川の貢献したいという思いはプレーに表れる。一塁へのヘッドスライディングも、その一端だ。「セーフになるためにしていますよ。飛び込んだ方が遅いという人もいるけど、僕はそう思っていない」。飛び込んだ際の衝撃など負傷のリスクを指摘する声もあるが「まあ、ないでしょ。よほどのクロスプレーとかでない限り」と平然と答えた。

 「チームを活気づけるために飛び込むとか言われるんですけど、セーフになることがチームのためになりますよね。自分なんかは、飛び込んで活気づけられるような選手でないですよ」

 1000安打に話を戻す。石川は2-1の六回に先頭で右翼線へ抜ける当たりで激走。三塁打とすると、続く嶺井の適時打で3点目のホームを踏んだ。チームは3-2で勝利し、首位・巨人に0・5ゲーム差まで詰め寄った。チームの勝利を手繰り寄せ、仲間を活気づけた殊勲打。

 「ユニホームが汚れるくらいが僕にはちょうどいい」。ヘッドスライディングで、決めた。(湯浅大)

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