工藤タカ、“鬼采配”で日本シリーズ3連覇!60年ぶり4連勝日本一 - SANSPO.COM(サンスポ)

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工藤タカ、“鬼采配”で日本シリーズ3連覇!60年ぶり4連勝日本一

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日本一を決めて宙を舞う工藤監督。3年連続で頂点に立った(撮影・今野顕)  SMBC日本シリーズ第4戦(巨人3-4ソフトバンク、ソフトバンク4勝、23日、東京D)パ・リーグ2位から勝ち上がったソフトバンクがセ・リーグ優勝の巨人に4-3で競り勝ち、4連勝として球団史上初の3年連続で10度目(南海、ダイエー時代を含む)のシリーズ制覇を果たした。4連勝での日本一は南海時代の1959年以来60年ぶり。就任5年目の工藤公康監督(56)は3年連続4度目の日本一で、監督としては歴代4位に並んだ。

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 “鬼采配”の仮面が一気に解けた。早足でナインに近寄った工藤監督は柳田に飛びついた。ナインを順番に抱きながら輪の中心へ。10度も宙を舞った。安堵と疲労があふれるように表情を崩し、お立ち台で感謝した。

 「こんなにすばらしい仲間と野球ができて、こんな幸せ者はいない。コーチ、スタッフ、何より選手のみんなに勇気をもらった。みんな、本当にご苦労様。ありがとう」

 令和初の頂上決戦は、平成後期の常勝軍団の完勝だ。2000年のON対決以来の対戦で、九州移転後のセ・リーグ6球団撃破を達成。4連勝での日本一は南海時代の59年以来となった。

 3年連続日本シリーズ制覇は、指揮官が投手として活躍した1990~92年の西武以来4球団目の快挙。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦から、就任5年で最長の10連勝で頂点を極め、4度の日本一は監督としては歴代4位に並んだ。

 フィナーレも動いた。グラシアルの3ランで先制すると、早めの継投。甲斐野やモイネロが回をまたぎ、攻撃は代打攻勢を仕掛けた。CSの松田宣らに続き、今度は内川がベンチスタート。主力にも容赦ない大胆な起用を続けた将は、最後まで戦力をフル活用した。

 「僕が胴上げをしてもらって申し訳ない。相手にも自分にも負けずに結果を出してくれた選手が頼もしいし、感謝しています」

 決断の度に、謝罪と同時に「悔いは残したくない」と繰り返した。現役29年で224勝の野球人生も「後悔ばかり」。いまも続く無限の反省から「どれだけ野球のことを考える時間を作るか」という信念が生まれた。

 評論家時代に「勉強」のために横浜市の自宅に研究室を作った。6試合を同時に録画する6台のテレビ。今季は同じ“基地”を単身赴任の福岡にも用意した。ひとまわり大きなスクリーンも加えて「分析」に進化。まぶたが限界を迎えるまでにらみ続けた。

 重いバッグに3台のタブレットを忍ばせ、シーズン中も専門家の学会をのぞく。体のしくみの勉強。知識を伝え、使うことの難しさを痛感して手に取る本も増えた。マネジメント、リーダーとは。妥協なき日々から生まれた勝負強さを、王球団会長も「彼が日頃から試合を振り返り、最高の力を出すことを考えているから」と感服した。

 そんな策士が優勝争いの要所でかけた言葉は驚くほど単純だ。「バカになって野球をやろう」。指揮する明るいナインの姿から学んだこと。夢中で白球を追った選手の手による胴上げ。「温かい手が背中を宙に浮かせてくれる気持ちを体いっぱいで感じながら」と感無量で舞った。

 ささやかな休息は身の回りの手伝いに福岡を訪れる三女・阿偉さんとの映画鑑賞だ。地下鉄を利用して映画館に向かう。肌で感じる街への何よりの恩返しを終えた。

 「きょうの勝利はファンのみなさんに心から捧げたい。まだまだ強くなれるチーム。強くなれるように、みんなで一生懸命頑張っていきます」

 2年連続でリーグ優勝を逃した屈辱は消えないが、新たな後悔も糧。野球漬けの旅は、終わりと同時に始まる。 (安藤理)

★南海・1959年の日本シリーズG倒VTR

 鶴岡一人監督が率い、55年以来5度目の日本シリーズで巨人と対戦。過去4度はすべて巨人に敗れていたが、杉浦忠が第1戦から4連投し、全試合で勝利投手となりMVPに選出。4連勝で球団初の日本一に輝いた。大阪市でのパレードでは先妻の位牌(いはい)をユニホームに忍ばせた鶴岡監督が涙を流し「涙の御堂筋パレード」と呼ばれた。

データBOX

 ◎…ソフトバンクが3年連続通算10度目(前身球団を含む)の日本シリーズ制覇。シリーズ3連覇は1990-92年の西武以来27年ぶり4球団目(7度目)。最多は65-73年の巨人の9連覇

 ◎…開幕4戦4勝で制したのは59年南海、60年大洋、90年西武、2002年巨人、05年ロッテに次いで6度目

 ◎…シーズン勝率2位以下(73-82年の前後期の通算勝率も含む)での制覇は昨季に続く2度目。2度は西武(82、2004年ともに2位)、ロッテ(05年2位、10年3位)と並ぶ最多

 ◎…03年から出場7連続で制覇。7連続は巨人の11連続(61、63、65-73年)に次ぐ2番目

 ◎…18年第3戦からシリーズ8連勝で、西武(88年第3戦-91年第1戦)、巨人(00年第3戦-02年第4戦)、ロッテ(74年第4戦-10年第1戦)と並ぶシリーズ最多連勝記録。またCSファーストS第2戦からはポストシーズン10連勝で、阪急(75年プレーオフ第2戦-76年日本シリーズ第3戦)と並ぶポストシーズン最多連勝

 ◎…13年から7年連続でパ・リーグ球団が制覇。同一リーグ7連覇は65-73年のセ(巨人9連覇)以来46年ぶり2度目。日本一の回数はセ・パとも35度で並んだ。並んだのは、59年(セ・パが5度)以来60年ぶり

福岡ソフトバンクホークス

 1938年に南海電鉄を経営母体に創設。44年に近畿日本、46年に近畿グレートリングと改称し、47年から南海ホークス。1リーグ時代に2度優勝し、73年までにパ・リーグ制覇10度(日本一2度)。低迷期を経て88年にダイエーが買収して本拠地を大阪から福岡に移した。93年に福岡ドーム(現ヤフオクドーム)が完成。95年から王貞治監督が指揮し、99年にダイエーとして初優勝、日本一。2000年も優勝したが、長嶋茂雄監督率いる巨人との“ONシリーズ”で敗れた。05年からソフトバンクとなり11、14、15、17、18、19年に日本一。リーグ優勝は前身を含め18度(1リーグ時代からは20度)。日本一は10度目。孫正義オーナー。

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