【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】辛口OBがドラフト絶賛も…ささやかれる悪夢のシナリオ「ジョンソン巨人」 - SANSPO.COM(サンスポ)

【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】辛口OBがドラフト絶賛も…ささやかれる悪夢のシナリオ「ジョンソン巨人」

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来季の去就が決まらない阪神・ジョンソン  ジョンソン流失という不気味な足音が聞こえてきませんか-。阪神は17日のドラフト会議で外れ1位で西純矢投手(18=創志学園)を指名すると5位指名まで高校生を指名。今季の最終盤で6連勝を飾り逆転3位、クライマックスシリーズのファーストシリーズでDeNAを破ったことで戦力に手応えを感じた裏返しが高校生大量指名の“先行投資”につながったはずです。しかし、今季58試合に登板し2勝3敗40ホールド、防御率1・38をマークしたピアース・ジョンソン投手(28)の来季残留は現時点でも決まっておらず、球界関係者は「日米複数球団による争奪戦の様相」と漏らしました。阪神にとって最悪のシナリオは「ジョンソン巨人」です。

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 いつもドラフト戦術ではさまざまな指摘を受ける阪神ですが、今年のドラフト戦略については酷評よりも絶賛の声の方が圧倒的に強かったですね。外れ1位に本格派右腕の西純矢投手を指名すると、2位は右の大砲・井上広大外野手(18=履正社)、3位は将来性豊かな左腕・及川雅貴投手(18=横浜)、4位は高校通算45発の二刀流・遠藤成内野手(18=東海大相模)、5位には今夏の甲子園4強を果たした藤田健斗捕手(18=中京学院大中京)。上位5人を全て甲子園大会に出場経験のある高校生で占めました。

 「いつもは即戦力なのか将来性なのか、中途半端な指名が多いのに、今年はある意味で徹底していた。高校生全員が甲子園のスター選手というのも初めてだろう。面白いドラフトをしたと思ったよ」と辛口の阪神OBも話していました。

 これだけ高校生を上位で指名する理由は単純明快です。来季の戦力として期待するというよりも2~3年後に1軍に出てきてチームの骨格となってほしい…という期待でしょう。全員が順調に育ってくれたならば2~3年後の阪神は魅力一杯のチームになっていくはずです。

 そして、高校生重点指名の裏側に存在するのは現有戦力に対する自信なのかもしれません。自信のよりどころは今季最終盤にみせた怒濤(どとう)の6連勝。広島をうっちゃり3位に入るとクライマックスシリーズのファーストステージではDeNAを2勝1敗で下してファイナルステージに進出しました。リーグ優勝した巨人には1勝4敗(巨人に1勝のアドバンテージあり)と敗れましたが、ルーキーの近本や木浪の活躍や高山や梅野、大山、北條らがヒーローになる試合も多くなりました。やっと若虎が“自立”し始めたと感じたからこそドラフトで“先行投資”を完遂したのでしょう。

 しかし、そんな球団の考えに冷や水をぶっかけるつもりはありませんが、来季に向けた不安要素を直視しなければならないでしょう。今季の阪神を支えたリリーフ陣の核の去就が不鮮明なのです。そう今季から加入したピアース・ジョンソン投手の来季残留はまだ決まっていません。

 サンフランシスコ・ジャイアンツから移籍してきたジョンソンは今季、セットアッパーとして大活躍しました。58試合に登板し2勝3敗40ホールド(42ホールドポイント)、防御率1・38でした。キレのある直球とカーブで58回2/3で91奪三振。藤川球児やドリスにつなぐ重要なポジションを見事にこなし、試合終盤の戦いを安定させました。

 それが10月14日に帰国する際、ジョンソンは阪神との来季の契約を締結していないことを明らかにしてこう話しました。

 「まだ来年のことは具体的に何も決まっていないので、何も言えないですね」

 阪神球団の幹部はジョンソンとの契約の継続について「もちろんそうです」と肯定しながらも現時点で「その話(契約)はまだ全然していないです」とけむに巻きました。

 大事なセットアッパーの流失を防ぐために、帰国前にはジョンソン側と話し合ったはずです。それなのに「話を全然していない」と語るところに苦しさが漂います。

 実は今オフ、米大リーグの各球団は日本や韓国からの“逆輸入選手”の獲得をひとつの重要な戦略として位置付けています。昨季に巨人からカージナルスに移籍したマイルズ・マイコラス投手が18勝をあげて最多勝に輝きました。日本球界で細かな制球力の大事さを覚え、変化球の精度を磨いた投手が大リーグで活躍できる-という生きた教本になったのです。

 当然ながらジョンソンの活躍は大リーグのスカウト陣の目に留まっています。カブスージャイアンツと渡り歩いた右腕が阪神で覚醒した…と評価するなら獲得に乗り出す球団はあるでしょう。そうなると条件は破格…。

 ジョンソンだけではありません。今季、西武で11連勝を飾り、12勝1敗の防御率2・87のニールや64試合に登板して4勝1敗41ホールドで最優秀中継ぎに輝いた中日のロドリゲスも大リーグ各球団のターゲットになっている可能性が高いですね。

 ある球界関係者はこう話しました。

 「ジョンソンもニールもロドリゲスもメジャーの球団に獲られる可能性は大いにあります。なにしろメジャーの契約はケタが違うので、阪神や西武、中日では太刀打ちできないでしょう。しかも、彼らにとってはアメリカで生活できるわけです。日本に帰ってくる気もなくなるはずですよ」 こうした背景を考えれば、ジョンソンが「来季のことは何も決まっていない」と言葉を濁すのも理解できますね。ただ、ジョンソン流失危機の話には続編があります。阪神ファンにとって最悪のシナリオと言うべき続編が…。球界関係者はジョンソンについて球界の舞台裏でささやかれている話を続けました。

 「ジョンソンについては巨人が調査している、という情報があるんですよ。今季の巨人はクックが期待を裏切り、日本シリーズでの出場メンバーからも漏れています。マチソンも来季で36歳なので再契約は微妙。残留確定はメルセデスだけでしょう。リリーフ陣が弱いことは原監督も今季で痛感しているので、ジョンソンは格好の存在になるはずです。大リーグ復帰がないのなら、巨人移籍も大いに可能性はあるでしょうね」

 かつて阪神から巨人に移籍した外国人投手といえばダレル・メイ投手がいます。当時の野村監督に反旗をひるがえし、翌年には巨人入りしましたね。阪神には1998年から2シーズン在籍し、巨人には2000年から2シーズンでした。阪神では4勝9敗と6勝7敗でしたが、巨人では12勝7敗と10勝8敗。やはり打線のいい巨人の方が勝ち星も多かったですね。

 もし、ジョンソンが巨人移籍となれば、強力打線をバックに中盤から登場するわけです。成績もさらに良くなるでしょうし、巨人も戦力的ウイークポイントがひとつ消えます。これは阪神にとって悪夢です。どうしても阻止しなければならないはずですが、その術はありません。

 将来性に重点を置いたドラフト戦略はそれはそれで評価されてもいいでしょう。しかし、肝心要の来季はどうなるのでしょうか。悪夢が現実とならないことを祈るばかりですね。(日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」『今日のトラコーナー』」や土曜日午後7時40分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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