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【球界ここだけの話(1733)】巨人・桜井、覚醒の裏に“日米レジェンド”

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巨人・桜井  いかなる時代も、いかなる業界にも、それを始め、受け継いだ先人たちがいる。過去があったからこそ今があり、未来がある。彼らが作り上げ、残してきたものには学ぶべきものも多い。

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 巨人・桜井俊貴投手(25)にとって、4年目の今季は覚醒の年となった。開幕はリリーフで迎えたが、6月の交流戦から先発に転向。ここまで26試合で8勝3敗、防御率3・53。5日の中日戦(東京ドーム)では7回1安打無失点と好投するなど、いまやチームに欠かせない存在となっている。

 そんな右腕の覚醒の裏にあるのも先人たちの存在だ。キャッチボールも高い位置からリリースするわけではなく、肩口から腕が出てくるような独特の投げ方。表現が難しいが、柔道の背負い投げのようにも見える。

 「リリースのタイミングですね。いままでは上から投げていた。そうしたら、リリースが見えるじゃないですか。リリースが高くて打者から見えやすいというか。だから、ゼロポジションからバーンッと」

 桜井の直球は常時145キロ前後。決して遅いわけではないが、150キロが常に出るわけでもない。それならば、リリースの瞬間が見えにくいフォームで投げ、抑えようというのだ。「リリースを高くして見えやすい150キロより、こうやって出た140キロの方が打ちにくいと思う」。このフォームの修正のきっかけとなったのが、何を隠そう先人たちだったのだ。

 普段からスマートフォンでYouTubeを見ることが好きだという桜井。「結構見ましたね。サイヤング賞投手の特集とか。メジャーリーグのいいピッチャーのものとか、金田(正一)さんのとか」。メジャー通算324勝を挙げ、歴代1位の通算5714奪三振を誇るノーラン・ライアンやケリー・ウッド、サイ・ヤング賞3度受賞のマックス・シャーザー、同じくペドロ・マルティネスら、日米に限らず偉大な投手の投球動画を見まくった。

 「やっぱり息の長い選手の共通点ってある。リリースじゃないですか。だいたい一緒です。金田さんは手首がすごい。最後の加速、ムチがすごいんです」

 偉大な投手に共通していたのが、リリースポイント。中継ぎをしていた4、5月頃に先人たちの動画に熱中。ヒントを得てみずからフォームを試していくうちに、だんだんと理想に近づいてきた。さらに最近は、足を上げた際にしっかりと上半身を立たせることで、上から下への位置エネルギーの変化でより大きな力を生み出すように工夫。球速以上に力のある球を投げ込んでいる。

 「位置エネルギーで力を付けて、パワーを移動させる。メジャーの選手もそう。重心が高い方が力が出るんですよ。低く沈むよりも。(理想は)下から浮き上がる球を投げたいです」

 先人たちに学び、できあがったフォームはズバリ「腕ぶっ放し投法」。肩口から一気に腕をぶっ放し、パワーを最大限に伝える。これが好投を生む一つの要因となっているのだ。さらに、桜井の今季の投球で目立つのが内角攻め。代名詞になりつつある強気な攻めも、先人たちからヒントを得たものだという。

 「なかなかいないじゃないですか。インコースをバンバン突くというのも。平松さんのカミソリシュートとか、東尾さんのけんか投法とか。そういう今にないスタイルというか。昔の人のいいところを、今にないところを出していきたい」

 これらを総称すれば、“レジェンド投法”とでも言うべきだろうか。もちろん新たな発見、進歩も大事になってくる。だが、先人たちが残した過去に学ぶものも多くある。1993年、平成5年生まれの25歳は、「令和」の時代に古き良き投球で勝ち星を重ねる。(赤尾裕希)

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