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【直撃】DeNAに革命もたらすデータ解析プロ集団

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今キャンプの一場面。スイングのデータが表示されたタブレット端末を筒香(左)、ロペスが真剣な表情でのぞきこむ (撮影・斎藤浩一)  球界の話題の人物、事象に迫る『直撃』。今回はキャンプ特別版として、DeNAが推し進める“IT戦略”に焦点を当てる。膨大なデータの収集と分析でチームを支えているのが、チーム戦略部に所属する7人のゲームアナリスト(旧スコアラー)と、R&D(リサーチ&デベロップメント)グループの4人の精鋭。沖縄・宜野湾キャンプにも帯同しているデータ分析集団の秘密に迫るべく、チーム戦略部の壁谷周介部長(41)に話を聞いた。(取材構成・湯浅大)

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 まさにDeNAの頭脳だ。膨大なデータを利用し、戦力アップにつなげる役割を担うチーム戦略部に“潜入”した。

 「トラックマンのデータはNPB11球団及び海外球団で共有する仕組みです。そこから同じものを、どう“料理”するかの勝負になります」

 11人の精鋭が所属するチーム戦略部をまとめる壁谷氏が明かした。

 現在、広島を除く11球団が本拠地にトラックマン(高性能弾道測定器)を設置し、打球の飛距離、投球の回転数などを計測している。DeNAでは今キャンプに携帯型トラックマンも導入。ただ、その数字はあくまで“材料”に過ぎない。

 2013年から小規模で運営されていたチーム戦略部内に昨オフ、統計解析を専門とするR&Dグループを新設。東大出身のITコンサルタントやスタンフォード大大学院の統計学修士を持つ田中秀幸氏(29)を採用し、今季から金融工学修士や情報工学修士という「野球界にはいなかった人材」を加えた。

 国際スカウト部門を兼任する壁谷氏は、データ分析の最先端にいるアストロズなど米大リーグ10球団以上の幹部、アナリスト(分析家)やメジャーで採用実績のあるIT企業からも情報を得ている。これもデータ戦略構築に生かされている。

 解析内容の多くは機密事項だが、一端だけでも多岐にわたる。トラックマンの投球データからは、捕手の捕球動作と球審の判定傾向の相関関係まで浮かび上がる。筒香ら打者は、今キャンプの打撃練習でバットのグリップに装着する小型センサーを使用。ここからも「スイングに関するほぼ全てが分かる」という。

 従来のスコアラー(記録員)はゲームアナリストと肩書を変え、試合を分析。R&Dからの数字を組み合わせて選手、監督らに提供する。三原球団代表や進藤編成部長によるチーム編成、ドラフト戦略など育成方針の意思決定も支えている。

 IT分野に注力する球団は他にもあるが「現時点で、うちのような体制はないと思う。メジャーと遜色ないデータ集団となって、一目置かれる存在になりたい」と壁谷氏。21年ぶりのリーグ優勝、日本一へ。“日本最強”のデータ解析集団がチームを支える。

★メジャーでは

 米大リーグでは、データは勝利に欠かせないツールとなっている。2015年にMLBが全球場に軍事用レーダーを利用したデータ収集システム「スタットキャスト」を導入。瞬時に80以上の項目を表示できるようになった。年間100敗が当たり前だった弱小球団アストロズは、ルーナウGMのもと統計学者らを集め、打球角度を重視しフライ打ちを狙う「フライボール革命」などを徹底。本塁打数を飛躍的に増やし、17年にはワールドシリーズを制した。

壁谷 周介(かべや・しゅうすけ)

 名古屋市出身、41歳。地元の高校から一橋大商学部経営学科で戦略論・組織論を専攻。ソニー、ボストン・コンサルティング・グループを経て2012年にDeNAに入社し社長室長を務める。現在はチーム統括本部チーム戦略部部長、R&Dグループリーダー、国際スカウトグループリーダーを兼任する。

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