【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】西、ガルシア、マルテ…戦力は「確定」に待った! 補強の扉閉じずに調査は継続すべき - SANSPO.COM(サンスポ)

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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】西、ガルシア、マルテ…戦力は「確定」に待った! 補強の扉閉じずに調査は継続すべき

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入団会見に臨み阪神・矢野監督と握手する西(右)  ロサリオの悲劇を繰り返さないためにも、補強の手を緩めてはいけません。阪神は中日を退団したオネルキ・ガルシア投手(29)の獲得に続き、4番候補としてジェフリー・マルテ内野手(27)の獲得に成功。FA補強の西勇輝投手(28)獲りから一気呵成(かせい)に戦力アップを果たしました。球団の情報を集約すると、これで来季戦力は「確定」の流れですが、ちょっと待った!!ですね。今季もメジャー71発のロサリオを「4番・一塁」に固定しようとして大失敗。チームは最下位でした。痛い経験則があるのです。来春3月まで補強の扉を閉めてはいけません。

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 少し、本人には失礼な表現になるかもしれませんが…。矢野燿大新監督(50)にはツキがあります。本人には不本意で、複雑な心境だったかもしれませんが、突然の監督就任劇も金本前監督が今季から3年契約だったにもかかわらず、わずか1年で事実上の解任になったからです。矢野新監督は一時、来季のヘッドコーチ就任要請を受諾しているのに、その後、どんでん返しで新監督に“差し替え要請”を受けました。こんなジェットコースターのような人事はプロ野球界でもそうあるものではありませんよ。

 「選手たちにトライしよう…と言っているのに、自分が(就任要請を)受けない選択肢はない」と話して受諾しましたが、その後の補強の“果実”を見ると、本当に監督になっておいて良かったのではないでしょうか。

 まずオリックスからフリーエージェント(FA)宣言をした西投手を残留を求めるオリックス、獲得に乗り出したソフトバンクやDeNAとの争奪戦を制して、獲得に成功しましたね。プロ10シーズンで209試合登板、74勝65敗1S、防御率3・30。今季は10勝13敗の右腕を手に入れました。

 「手応えがなければ手を挙げないよ。好感触と違うか…。FAって、宣言した時には入る球団は決まっているんだよ」と話していた球団関係者の言葉通り、FA宣言を行ったときにこのレースの行く末はある程度、見えていたようですね。サンスポの「西・阪神決断」のニュースは見事なスクープでした。舞台裏の話は書けませんが、どこよりも深く西の周辺の情報を入手した結果でした。

 さらに中日を退団した左腕のガルシア投手の獲得にも成功しました。今季は13勝9敗の防御率2・99でした。中日がBクラス低迷の中で巨人に3勝1敗、広島にも3勝1敗。阪神からも3勝2敗でしたね。今季の阪神は対巨人が8勝16敗1分けで広島は10勝15敗でしたから、ガルシアの加入は極めて大きいですね。

 ガルシアが中日との交渉がこじれて自由契約となった後、日本球界の複数の球団が獲得に乗り出しました。球界関係者はこう話しました。

 「実は巨人も来ていたんですよ。でもガルシアは阪神を選んだ。事情を聴いてみると、大きな決め手は甲子園球場だそうです。狭い東京ドームよりも甲子園の方が投手にとっては有利だと…。今年も本塁打の出にくいナゴヤドームで好投しましたからね」

 FAで獲得した西の阪神選択のひとつの理由も「甲子園球場への憧れ」だと聞きましたね。

 今季の阪神はホームゲームで27勝42敗2分け、ロードで35勝37敗でした。62勝79敗2分けで最下位に沈んだ大きな原因はホームゲームで勝てなかったからです。甲子園球場での借金15という数字が低迷の元凶でした。なので、球団周辺からは「甲子園球場にラッキーゾーンを復活させるべきだ…」などという話が漏れてきていましたが、オフの補強策では苦手?の甲子園球場が強烈な追い風を吹かせてくれたことになるのです。負けた責任を甲子園球場になすりつけるなんて、本当にバチが当たりそうですよ。

 そして、最後のワンピース、4番を打てる一塁手として今季は大リーグ・エンゼルスに在籍していたマルテ内野手の獲得が決まりました。このコラムでも「4番の大砲獲得ならば巨人、広島と拮抗(きっこう)する戦力になる」と書きましたが、さてマルテはどうでしょう。メジャー4年で通算打率2割2分2厘、本塁打30本、打点91です。今季は90試合出場で打率2割1分6厘、本塁打7本、打点22。オフにFAになっていました。

 「マルテはロサリオに比べて、フットワークがいいので、守備はいいですよ。動けるでしょう。打撃ですか、ロサリオと同じような感じですが…後は日本球界への順応性ではないでしょうか」

 これが米球界に詳しい球界関係者のマルテ評です。つまり、このコラムで書いた「4番・一塁」を任せられる大砲か、そうではないのか…は来てみないとわからない、というのが実情でしょうね。

 「ロサリオと同じような…」という言葉は阪神ファンにとって、思わずのけ反るフレーズです。今季の阪神の低迷→金本監督解任は「ロサリオの悲劇」と表現してもいいでしょう。メジャー5年で通算2割7分3厘、本塁打71本、打点241。韓国ハンファでは2年連続の3割、30発、100打点以上。推定年俸3億4000万円の大物外国人が4番・一塁に定着して打ちまくっていれば、今季の阪神の全ての結果は違っていたはずですね。

 ロサリオは春季キャンプ中は練習試合や紅白戦で3試合連続弾。見ていた首脳陣も「こんな外国人が欲しかったんや」と絶賛していました。ところが、オープン戦に入った途端に様子がおかしくなったのです。忘れもしない3月10日前後のことでした。相手投手がシーズンの先発候補になり始め、変化球を多用し始めるとバットは空を切り始めたのです。

 不安になったロサリオは首脳陣の所に相談に行きましたね。その様子を見ていた阪神OBは危険予報を発令しました。

 「この時期にコーチのところに相談に行くのは相当、内心が不安だからだろう。これは危ない」。まさに予言は的中したのです。

 さて、マルテがロサリオのようなダメ軌道を描かないことを祈ります。もしも、日本球界の細かな制球力と外角への変化球に付いていけなければ、結果もロサリオと同じになりかねませんね。これは春季キャンプからオープン戦とじっくりと観察しておかなければなりません。そして、阪神球団は西→ガルシア→マルテに安住することなく、補強の扉を決して閉めてはいけません。何が起こるか分からないのですから、来春3月までマルテやガルシアの様子を横目に見ながら、調査活動は継続しておくべきですね。

 冒頭にも書きましたが、矢野新監督にはツキがありますよ。ツキは大事です。このままツキを落とさないように来季になだれ込んでほしいものです。ならば14年ぶりのリーグ制覇も夢ではないような気もしますよね。阪神球団の一層の奮起を期待したいものです。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」『今日のトラコーナー』」や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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