【土井正博の若虎解析】阪神・高山復活のカギは「尻」と「頭」 - SANSPO.COM(サンスポ)

試合
速報

【土井正博の若虎解析】阪神・高山復活のカギは「尻」と「頭」

更新

写真(1) 10月20日・フェニックスLの高山  中日の打撃コーチを退任し、サンケイスポーツ専属評論家に復帰する土井正博氏(74)が、阪神の若手選手の打撃を連続写真でチェックする好評企画「若虎解析」が復活。第1回は、最近2年間不振が続く高山俊外野手(25)だ。西武打撃コーチ時代に通算525本塁打の清原和博らを育て、中日では京田、高橋をレギュラーに定着させた名伯楽は「尻」と「頭」の2つのポイントを指摘し、復活に太鼓判を押した。

<< 下に続く >>

 お尻の出が悪い。頭が早く出ている。高山の連続写真を見て、まずそこが気になった。というより、気になるのはそこだけ。あとはすべていい。

 右足を上げて踏み出していく写真(2)と(3)で、頭が早く前に出てボールをのぞきにいっている。ボタンを掛け違えるとその先もずっとズレるように、(4)と(5)でも、頭の位置が本来あるべき場所より1つぶん、前に出てしまっている。

 「速球に詰まらないように」「変化球に泳がされないように」。そこを意識するあまり、頭が前に出てしまっているのだろう。明大時代のビデオや写真、プロ1年目のビデオや写真と、今のスイングを見比べるといい。

 高山はプロ1年目、詰まっても打てていた。変化球でタイミングを崩されても、巧みなバット操作で拾えていた。窮屈になっても泳がされても、さばくのがうまい。だからあれだけの数字(打率・275、8本塁打、65打点)を残せたし、新人王も獲得できた。

 2年目、3年目は、中日で打撃コーチをしていた私が相手側のベンチから見ていても、詰まるのを嫌がり、泳ぐのを嫌がって、頭が早く前に出ているように感じた。

 写真(2)で、尻が書き込んだ位置まで出て、頭は逆に1つぶん後ろに残す。写真(3)で漢字の「人」の文字になる形で右足を踏み出せば、詰まっても1年目のように打ち返せるし、泳いでも変化球を拾える。

 頭が前に出すぎることと尻が前に出ていかないこと。これは右投げ左打ちの選手が一番苦労するポイントだ。どうすればいいときに戻せるか。

 「キャッチボールの形」を思い出すといい。キャッチボールで左足を踏み出し、握ったボールを頭の後ろに引き上げたときの形。あれが打撃でのトップの構え。そして踏み込んだときの体の形だ。

 左投げではないから、その形をイメージしにくいのであれば、キャッチボールする動作を鏡に映して確認してみるといい。鏡の前で動作を繰り返し、踏み出したところで動きを止める。そのままボールをバットに握り替えて構えれば、トップの位置が決まる。

 今の踏み出し方では、体の動きをぶつけることができず、逆にボールを“受けて”しまう。写真(4)の体の残し方では勢いが消える。そっくり返って、スイングの強さをボールに伝えられない。

 写真(5)(6)(7)の両肘の使い方や腕の伸ばし方は「これ、鳥谷の写真か」と思ったくらいだ。うまく振り抜いている。

 意識してほしいのは、写真(4)までの体の使い方だ。うまく振っているが、体の開きが早い。もっと粘れるはずだ。(5)のとき、まだバットが(4)の位置にあるくらいでいい。体を開かず、(5)のときにまだ(4)の構えのまま待つ。それでは速いタマに詰まると言うかもしれないが、詰まってもいい。1年目はその形で打てていた。(5)(6)(7)の肘の使い方ができる高山なら、詰まってもヒットにできる。

 高山はこの秋、タイミングの取り方を変えて、打撃練習でいい当たりが出始めているという。タイミングが良くなったのなら、なおさらだ。頭が出ていくのを我慢して、踏み出すまでは頭をそのままの位置で残すこと。踏み出すとき、尻を体の線より前に出すこと。この2つを意識して練習を続けてほしい。もっと打てる。今以上にいい打球を飛ばせる。必ず、1年目以上の成績が残せる。

★今季の高山

 オープン戦は最終的に打率・226。調子の上がらないまま開幕1軍でシーズンを迎えた。3月30日の開幕戦(巨人戦、東京ドーム)は「1番・中堅」で迎えたが、4月終了時点で打率・197。5月に入るとスタメンの機会が減り、18日に最初の2軍落ち。6月12日に復帰も、28日に2度目の降格。9月29日にやっと1軍昇格したが、10月5日に3度目の降格をすると、そのままシーズン終了を迎えた。1年目のようなしぶとい打撃を取り戻せず、定着できなかった。2軍では62試合で打率・264、2本塁打、36打点。

高山 俊(たかやま・しゅん)

 1993(平成5)年4月18日生まれ、25歳。千葉県出身。日大三高から明大を経て2016年ドラフト1位で阪神入団。1年目から134試合に出場し、打率・275、8本塁打、65打点で新人王に輝いた。2年目以降は成績が伸びず、今季は45試合で打率・172、1本塁打、14打点。通算282試合で打率・253、15本塁打、103打点。1メートル81、89キロ、右投げ左打ち。今季年俸3800万円。独身。背番号「9」

土井 正博(どい・まさひろ)

 1943(昭和18)年12月8日生まれ、74歳。大阪府出身。大鉄高(現阪南大高)から62年に近鉄入団。18歳から4番を打ち、71年には40本塁打、113打点を記録。75年に太平洋(現西武)に移籍し、34本塁打でタイトルを獲得した。81年に引退。通算成績は2440試合に出場し、2452安打、打率・282、465本塁打、1400打点。引退後は西武でヘッド、打撃コーチなどを歴任。17年から中日で打撃コーチを務め、今オフ退団した。現役時代は1メートル81、81キロ。右投げ右打ち。

PR