【球界ここだけの話(1375)】“ジュンコー”が熱い! 巨人育成・坂本工、準硬式からプロの道へ 成長の軌跡 - SANSPO.COM(サンスポ)

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【球界ここだけの話(1375)】“ジュンコー”が熱い! 巨人育成・坂本工、準硬式からプロの道へ 成長の軌跡

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支配下登録を目指し、ジャイアンツ球場で汗を流している巨人育成選手の坂本工  “ジュンコー”を知っているだろうか? 硬式、軟式とある野球において“第3の野球”である準硬式野球のことだ。今夏は甲子園大会が第100回ということもあり、大きな盛り上がりを見せたが“ジュンコー”もいま、熱い。

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 主に大学で活発に行われている準硬式野球。最近では甲子園常連校や地方の強豪校から有望な選手が集まる大学も多く、レベルが高くなっている。そもそも準硬式とは? 野球の基本的ルールは変わらない。

 一番の違いは球だ。簡単にいえば、見た目は軟式球だが、触ったら硬式球の硬さである球。あとは、大学野球でも金属バットを使っているというところだろうか。

 そして、監督を務めてもらう人も普通のサラリーマンであったりするため、なかなか平日の指導もできない。そのため、監督がいて寮生活をしている名門の硬式野球部とは違い、「自主性」が重んじられている。

 夏の甲子園も注目を集めたが“ジュンコー”界の全国大会である、全日本大学準硬式野球選手権大会、通称「全日(ぜんにち)」も今夏、第70回大会。盛り上がりの中、中京大の優勝で幕を閉じた。

 そんな“ジュンコー”出身のプロ野球選手も近年、増えつつある。巨人の育成選手、坂本工宜投手(24)もその一人だ。滋賀県出身で、関西学院大の準硬式野球部からプロの門をたたいた。

 27日現在でイースタン・リーグ21試合に登板し、2勝4敗、防御率5・17。2年目の今季は同リーグ開幕2戦目の先発を任されるなど、急成長を遂げている。

 「開幕して2戦目を任せてもらって、すごく自分としても気持ちが高ぶって。成長した部分が出ました。そこから、中継ぎ、先発、どちらもやっていく中で適応の難しさを感じながらやっている感じです」

 成長の裏にはウエートトレーニングがあった。球速を上げるためにウインターリーグなどで多忙だったオフも、欠かさず続けた。その結果、最速は1キロ速くなり、148キロ。「去年のMAXが出たのは夏ぐらいだけど、今年は4月、5月でMAXが出た。冬の取り組みが出たのかな、と思う」と手応えを口にする。

 では坂本工はなぜ、“ジュンコー”を選んだのか。それは、高校時代までさかのぼる。関西学院高時代、坂本工は外野手だった。それも控えの。高3のときの部員は約180人。そんな大所帯の中で、原石はまだ原石でしかなかった。

 「背番号をずっともらっていなくて。ベンチには外野が5人いたので、それ以下ってことですね。その時はプロになれるとは思っていなかった。Aチームの試合に出ることだけを目指してやっていました」

 大人数の中で埋もれて過ごした、高校時代。「不完全燃焼という感じで。悔しいことの方が多かった。試合に出ていないのもあって、いい思い出はないですね」とふがいなさ、無力さが残った。そんな中、坂本工は幼き頃に守っていた「投手」というポジションに憧れを抱き始める。

 中学時代は遊撃手、高校時代は外野手。投手の後ろを守りながら、「やっぱりピッチャーというポジションは魅力があって、おもしろいというか、野球はピッチャーやな」と感じたという。

 そこで大学では投手を、と思ったのだが…。高校時代に補欠の外野手だった選手が、大学の硬式野球部で投手をやって試合に出るのは現実的に厳しい。だからこそ、選んだ道が“ジュンコー”だったのだ。

 大学時代も最初は外野手だった。だが、外野からの鋭い送球を見ていた当時の主将から「ピッチャーをやってみたら」と声をかけてもらい、投手人生が始まった。当初、直球の最速は130キロ台後半だったが、ブルペン投球を動画解析してもらうなど、徹底的にフォームにこだわり、大学時代の最速は146キロまでになった。そして大学3年時に転機が訪れる。

 「一番大きかったのは、関西選抜で台湾に行ったことですね」

 大学の準硬式には関東、東海などブロック別に選抜がある。坂本工は関西選抜に選ばれ、台湾に遠征した際、硬式球に触れたという。「硬式を投げたら、いいなと思って。指にしっかり引っかかる感覚があって、伸びるし、落ちないという。カーブが抜きやすかったのも覚えています。そこからプロを目指すと決めた」。退路を断つように就職活動は辞め、プロの道一本に決めた。

 そして、運命のドラフト当日。坂本工は、育成4位で巨人から指名された。原石がやっと輝き始めた瞬間だった。同じく帝京大の“ジュンコー”出身である楽天・鶴田とは同じ滋賀県出身ということもあり、現在では連絡を取りながら、切磋琢磨(せっさたくま)している。

 「準硬式を広めたいという思いももちろんあって、プロに入ったのもある。準硬式がもっともっとメジャーになってくれたらと思う。上のレベルで、社会人でもいいし、プロでも多くの選手が出てきたら、全体のレベルも上がってくると思うし、そこに貢献していきたいなと思います」

 坂本工は、熱い思いを口にした。マイナースポーツでは終わらせない。自身の成長が“ジュンコー”界の発展にもつながる。来季は必ずや支配下登録を勝ち取るために。また大きな一歩を踏み出そうと背番号006は日々、汗を流している。(赤尾裕希)

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