【科学特捜隊】パ首位打者争いの行方 鷹・柳田、日本ハム・近藤、西武・秋山三者三様の持ち味 - SANSPO.COM(サンスポ)

試合
速報

【科学特捜隊】パ首位打者争いの行方 鷹・柳田、日本ハム・近藤、西武・秋山三者三様の持ち味

更新

ソフトバンク・柳田  科学的なアプローチで斬り込むサンケイスポーツ東京発刊55周年企画「科学特捜隊」の第14回は、パ・リーグで首位打者を争うソフトバンク・柳田悠岐外野手(29)、日本ハム・近藤健介捕手(25)、西武・秋山翔吾外野手(30)にスポットを当てる。各種スポーツのデータを収集、分析する「データスタジアム社」の協力により、日本を代表する好打者3人の共通点やそれぞれの特徴が判明した。(取材構成・伊藤昇)

<< 下に続く >>

 ペナントレースも終盤戦に入り、個人タイトルの行方も気になる時期となってきた。中でも熱く盛り上がっているのが、パ・リーグの首位打者争いだ。2015年に打率・363でタイトルを獲得した柳田、昨季はシーズン中盤まで4割をキープした近藤、15年にプロ野球記録のシーズン216安打を達成した秋山がハイレベルな争いを繰り広げている。

 確実に安打を積み重ねる3人の共通点は何か。一球一打を詳細に分析する「データスタジアム社」の協力で、高打率の“極意”が明らかになってきた。

 (1)対左投手に強い 3人とも左打者だが、対左投手の打率は柳田が・340、近藤が・313、秋山が・298と高いアベレージを残す。これはパ・リーグの左打者でもトップクラスで、左右どちらも打てることが好成績を支えている。

 (2)甘い球を逃さない 投球ゾーンを高め、真ん中、低めで3分割すると、真ん中の打率ランキングのトップ5に3人が入る。中でも柳田は・519で断トツ。打ちやすい球をミスヒットせずに確実に安打にすることが首位打者への近道だ。

 対照的な特徴もある。例えば初球スイング率。柳田はトップの49・7%で、2打席に1回は初球をスイングしている。一方、近藤は最低のわずか9・5%。10打席に1回しか振らない計算だ。秋山は平均(25・4%)に近い27・8%だから、両者はかなり特徴的。超積極的な柳田と、超慎重派の近藤という特色がよく出ている。1打席あたりの投球数は柳田が3・8、秋山が4・0、近藤が4・8。特徴通りの数字が残る。

 投球の高さ別打率では、秋山がランク2位で高めを得意とする。柳田は7位、近藤は13位だ。逆に近藤は低めでトップ。柳田は9位、秋山は12位にとどまる。秋山は明らかな「ハイボールヒッター」で、近藤は「ローボールヒッター」。それぞれのスイング軌道や得意不得意でヒットゾーンが異なってくる。

 選球眼を表すボールスイング率は、近藤が16年の28%からビジョントレーニングを本格的に導入した17年に12%と劇的に改善させ、今年も19%と高水準。打率も16年・265→17年・413(ともに規定打席未到達)と結果に直結している。秋山も23%と悪くない数字だが、柳田は32%とやや多い。好球必打の近藤、秋山と、ボールを選ばずにどんどんバットを振る柳田、と3人のコントラストがここでも現れた。

 高打率を支える共通点とともに、打席内でのアプローチの違いが明らかになった。そこで、「データスタジアム社」は独自にレーダーチャート(図)を作成した。積極性とパワーが抜きんでる柳田、平均的に高いレベルの秋山、そしてバットコントロールと選球眼に優れるのが近藤だ。

 それぞれの個性を理解しながら3人の打席を見ていくと、これまでとはひと味違った見方も可能になる。西武、日本ハム、ソフトバンクの優勝争いとともに、近年まれに見るハイレベルな首位打者争いにも注目してもらいたい。

ソフトバンク・柳田「初球のスイングが多いのは狙い球がないから。(真ん中の高打率は)セオリー通りじゃないですか。理想はストライクは全部振って、ボールは全部振らないこと」

日本ハム・近藤「初球のスイングが少ない理由は企業秘密です(笑)。柳田さんと違って自分は試合を決めるタイプではない。いかに投手にダメージを与えて次の打者に回すかというつなぎの役目もあるので」

西武・秋山「対左投手も、その打席ごとに集中して結果を出していくしかない。(長打については)ゴロを打ちにいくこともあるが、ランナーなしで打席に立つ場合は、ゴロよりちょっと打球が上がった方がヒットになる」

小早川毅彦氏(サンケイスポーツ専属評論家) 「柳田が初球からスイングすることが多いのは、追い込まれる前に打ちたいからだろう。初球を空振りかファウルしても、もう一度チャンスがある。柳田のようにフルスイングするタイプにはメリットがある。

 近藤は選球眼がよく、バットコントロールも巧み。初球に手を出さなくても対処ができる。

 秋山は球筋を見極め、引きつけて打てることが武器だ。バッテリーが「見逃したかな」と思ったところからバットが出る。普通は差し込まれるタイミングだから、よくあれで前に飛ばせるなと感心する。プロ野球でも他にいないくらいの技術といっていい」

★長打力アップも打率安定の一因

 長打力を表す指標の1つに「外野フライが本塁打になった割合」(全ての外野への飛球のうち、本塁打になった確率)がある。秋山は2016年から今季にかけて6→12→12%と推移。近藤も同年から3→6→11%と上昇しており、年々向上する長打力も安定した打率を下支えしている。ちなみに柳田も16→20→25%と上昇。今季は自己最多の34本塁打した15年並み(26%)となっている。

★データスタジアム社・小林展久氏

 パ・リーグの首位打者を争う柳田、近藤、秋山はいずれも左打者です。パ・リーグは2012年から6年連続で左打者が首位打者に輝いていて、今季もそうなる可能性は十分でしょう。セ・リーグでは逆に右打者が過去5年で4度獲得しており、今季も上位には右打者がずらりと並びます。

 この傾向の一因は、有力な左投手の数の差が考えられます。10試合以上に先発した投手の左腕が占める割合をみると、セ・リーグは過去10年間すべてで30%超。一方、パ・リーグは年々減少傾向で、昨季はわずか12%、4選手のみでした。もしパ・リーグに力のある左投手が多ければ、首位打者争いは異なる展開だったかもしれません。

ランキング

PR