【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】鳥谷が阪神CSファーストステージ開催権の鍵を握る 8億円の真価を今こそ発揮せよ! - SANSPO.COM(サンスポ)

試合
速報

【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】鳥谷が阪神CSファーストステージ開催権の鍵を握る 8億円の真価を今こそ発揮せよ!

更新

この先の戦いで鳥谷の真価が問われる  鳥谷は8億円の真価を今こそ発揮しなければなりません。阪神は夏の長期ロード(7月27日~8月26日)の9試合消化時点で5勝4敗。先週のコラムで書いた通り、甲子園球場以外の勝率の良さを示しています。首位・広島との13ゲーム差(9日現在)は絶望的ですが、CSファーストステージ開催権を得る2位とはわずか1・5ゲーム差。十分にチャンスはありますね。ポイントを握る選手は鳥谷敬内野手(37)。今季の年俸は4億円。契約最終年の来季も4億円です。球団の投資に報いるためにはチームに貢献するしかありません。自身の野球生命を賭けた戦いにもなるはずです。

<< 下に続く >>

 やはり今季の傾向はそのまま出ています。夏の高校野球の開催のため、本拠地・甲子園球場を旅立った阪神は9試合消化時点で5勝4敗。京セラドームでの2試合(ヤクルト戦、2連勝)を含みますが、長期ロードはこの時点で勝ち越しているのです。もはや“死のロード”という言葉こそが死語になったと言えるかもしれません。

 通算でもロードは23勝21敗。ホーム(京セラ5試合、倉敷マスカット1試合含む)は20勝27敗1分。京セラ3勝2敗、マスカット1勝ですから甲子園球場では16勝25敗。チームは92試合消化時点で43勝48敗1分ですから、もし甲子園球場での勝ち負けが逆転していれば、今頃は広島と激しい優勝争いを繰り広げていることになります。

 「阪神は、選手も甲子園球場での苦手意識が芽生えているように見える。それではダメなんだけどね。チームの戦力構成がどうしてもグラウンドの広い、天然芝の甲子園では適応しない。戦力編成から見直した方がいい」

 これは阪神OBの言葉でもありますが、ロードで強い利点? を生かす意味でも甲子園球場での戦略を抜本的に見直す時期ではあるでしょう。しかし、それはシーズン終了後の話でしょうね。

 今季はまだまだ残り51試合あります。現有戦力で戦い抜き、まずは今季の最低目標を勝ち取らなければなりません。

 開幕前は「今年こそ優勝」と誰もが話していましたが、首位・広島は貯金21(58勝37敗1分)で13ゲーム差。もはや逆転優勝とラッパを吹いても現実的ではありません。当面の目標はCSのファーストステージ開催の権利を得る2位に食い込むことですね。9日の時点で2位は巨人ですが、ゲーム差は1・5。あってないようなゲーム差ですよ。

 DeNAや中日が投手陣を中心に少し疲弊してきた様子です。2位、3位は阪神と巨人、ヤクルトの争いになるのかもしれません。ともかく他の4球団と競り合い、2位に入ることが現段階の目標値ですね。残り試合でどれだけ踏ん張れるか…ですが、チームの中で色々な意味でキーポイントを握る選手は鳥谷です。

 いまさら鳥谷? そう思うかもしれません。しかし、考えても見てください。鳥谷の今季の年俸は4億円です。これは12球団の野手で最高俸ですよ。

 今季の成績は85試合に出場し、153打数33安打、本塁打0、打点14です。打率・216ですね。4億円のプレーヤーがこの数字なのです。

 確かに同情? すべき点はありますね。昨季は遊撃から三塁にコンバートされ、それでも奮起して143試合に出場し打率・293、本塁打4本、打点41でゴールデングラブ賞を受賞しましたね。

 それでも今季は春季キャンプの段階で金本監督から二塁転向を言い渡されました。「大山を使いたい」という理由でチーム生え抜きの大功労者が再度のコンバート。これには阪神OBら関係者も「監督は心がない」と憤慨していました。

 二塁のポジションでは上本や糸原らと競り合う形になりましたが、出場機会はどんどん減り、5月29日のソフトバンク戦(甲子園)では連続試合出場も途切れました。

 試合に出続けることで調子を上げていくタイプ…。代打や守備要員では本来の力は出せない…という声が聞こえてきますね。阪神球団の周囲はかなり同情的です。

 しかし、本当に同情だけで話は済みますかね。立場や精神的な部分を理解はしますが、それでもプロ野球選手として2015年から球団と締結した5年契約、年俸4億円という金額は極めて重いはずです。今季も年俸4億円、そして契約最終年の来季も4億円。しめて8億円の値打ちを示すのは残り51試合での活躍ではないでしょうか。

 思い出してください。今年の6月に行われた阪急阪神HDの株主総会をー。阪神球団としては過去最高益を記録した、と発表されていました。

 主な要因としてシーズンの好調な観客動員とCSファーストステージの開催権を得たこと、そして鳥谷の2000安打達成によるグッズ販売が好調だったことが挙げられましたね。つまりCSの開催権を得ることは阪神球団の金庫を潤すことに直結するわけです。

 すべてカネじゃあない…と言いますが、年俸4億円を支払い続ける球団とすれば、立場や心情は察するが、そろそろチームに貢献してよ!! と言いたくなるのも理解できるでしょう。

 そして、鳥谷にとって残り51試合で貢献することは自身の来季のプレーにつながります。どうせ来季も契約期間だから、今更働いても働かなくても同じじゃないか? そういう見方をする人もいるでしょうが、本当にそうでしょうか。今季がこのままの不振に終わってしまった時、来季に向かう鳥谷に刺さる周囲の視線は極めて厳しいでしょう。契約だから仕方ないにしても、「給料ドロボー」の汚名を着せられる心配さえあります。

 阪神では過去に長期契約の残り1年を返上して引退した選手がいます。12年に引退した城島健司捕手です。マリナーズを退団した09年オフ、国内複数球団の争奪戦の末に4年契約、推定年俸4億円で阪神と契約。しかし、契約初年度は活躍したものの、2年目以降は度重なる故障で満足に働けず、3年目が終わった12年限りで引退しました。その時、城島は1軍での引退試合も辞退し、残り1年の年俸4億円を球団に返上しているのです。

 鳥谷の現状を見ると“城島ケース”が頭をよぎります。不振のままシーズン終了となれば、来季はレギュラー扱いはないでしょうし、1シーズンを2軍生活…という心配さえありますね。自身の気持ちを追い込むハメになりかねません。

 阪神球団が鳥谷となぜ14年オフ、翌年からの5年契約を締結したのか。当時、メジャー移籍を目指した鳥谷を生涯トラに縛っておくためだったでしょう。その時の判断の是非をいまさら問うても仕方ありません。結論は鳥谷は5年で20億円を得ることになったのです。費用対効果を発揮するのは誰あろう鳥谷自身しかありません。残り51試合、誰よりも活躍して金本監督を喜ばせなければなりません。様々な思いを封印してグラウンドに向き合うしかないはずです。また、それができる選手でしょう。鳥谷の背番号1を誰もが目に刻み、注目し続けなければならないでしょう。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

ランキング

PR