【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本阪神が最悪100失策ペース! 打撃向上ばかり意識したツケは甲子園での勝率低さに直結… - SANSPO.COM(サンスポ)

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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本阪神が最悪100失策ペース! 打撃向上ばかり意識したツケは甲子園での勝率低さに直結…

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守備練習でノックを打つ金本監督  最悪100失策ペースです!! 阪神は87試合消化時点で39勝47敗1分の借金8、首位・広島とは12・5ゲーム差の単独最下位に沈みました。開幕前は優勝候補と言われたチームが、どうしてここまで苦しんでいるのでしょうか。データを見ると際立つのが失策数の多さ。87試合で61失策はリーグどころか12球団最悪。今のペースで残り56試合戦うとシーズン100失策の悪夢が訪れます。守備の破綻は本拠地・甲子園球場での16勝25敗1分という無残な数字に直結しています。打撃向上ばかりを意識したツケは虎から牙を抜く結末になっていませんか。

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 チャンスは作るけど後1本が出ない。逆に少ないチャンスをモノにされて大量失点…。1日の中日戦(ナゴヤD)は今の金本阪神を象徴するかのような試合でした。

 5ー8の敗戦で単独最下位に転落した試合後、金本監督は「(選手は)集中力を欠いているわけじゃないでしょうけどね。そのへん、負の流れというか、そういうのに、のまれているような感じはしますけどね」と力なく話していました。

 チームは7月26日のヤクルト戦(神宮)から恒例の夏の長期ロードに旅立ちました。しかし、これで2カード消化時点で1勝3敗。まるで浮上への兆しが見えないまま、試合数だけが増えていきます。

 87試合消化時点で39勝47敗1分。借金8で、首位・広島とは12・5ゲーム差となりました。広島の貯金は90試合消化時点で53勝36敗1分の17個。もう歴史的な阪神の連勝と広島の連敗でもない限り、逆転するのは不可能に近いでしょう。

 開幕前、金本監督は自軍の戦力に触れ「いままでで一番強いチームができた。手応えがある」と話していましたね。それが数々の誤算の連鎖で思いもしないプロセスを辿っているわけです。

 4番を期待したロサリオが59試合出場時点で打率・240、本塁打7本、打点30という期待外れの成績で、7月17日に2軍から再昇格した後は下位打線に座っています。しかし、チャンスに弱く、状態は相変わらずです。2ケタ勝利を期待した藤浪も不振から抜け出せず、2勝3敗、防御率6・34で今は2軍落ち。

 さらに言うなら「若手野手育成路線」の目玉だったドラフト1位の高山も2軍。大山はベンチで控え。昨季は20本塁打を放った中谷も打撃成績が上向いて来ません。

 こうした負の現象の中でも、目をひくデータがあります。チーム失策数の多さですね。

 87試合消化時点でチームの失策数は61。0・7試合に1失策のペースでこのまま残り56試合も同じペースで失策数を刻むと、なんと143試合では100失策!! 呆れかえる数字がおぼろげながら見えてきているのです。

 金本監督が監督に就任して以降、阪神の失策数は止まる気配もありません。2016年が143試合で97失策、昨季の17年が143試合で82失策で、2年連続リーグワーストでした。今季、もし100失策となれば、就任3年間(429試合)で279失策という無残きわまりない数字になるわけです。

 今季は61失策に加えて暴投37、捕逸8もリーグワースト。バッテリー間のミスが多いのも特徴ですが、守乱の傾向は次のデータにも直結しています。本拠地・甲子園球場での勝率の低さですね。

 今季の阪神は甲子園球場で16勝25敗1分(ホーム18勝27敗1分、京セラ1勝2敗、倉敷マスカット1勝)の借金9。逆にロードでは21勝20敗。このところロードで1勝3敗なのにトータルではまだ勝ち越しているのですから驚きです。

 「阪神は本拠地を変えた方がいい…なんて冗談まで出ています。甲子園球場を苦手にしていますからね。選手も苦手意識が芽生えているんじゃないでしょうか。仮に横浜が本拠地ならもっと強い…なんて周囲は苦笑いで言ってますよ」とはチーム関係者の話ですが、データを見る限りでは笑って済ませられないですね。

 本拠地・甲子園球場で勝てない理由は自明の理です。両翼95メートル、中堅118メートル、左右中間118メートルという広いグラウンドで、しかも右から左方向に強い浜風が吹く特徴から右方向への本塁打は出にくいですね。

 さらに内野は土で、外野は天然芝です。打球は殺されますね。人工芝のように球足が速くなって内野手の間を抜ける安打も減ります。つまり本来は本塁打数も少なく、得点も入らない球場なのです。

 逆に必要になるのは投手陣を中心とするバッテリーの安定と内外野の守備力です。自明の理…というのはソコです。阪神は投手陣の防御率は3・99(巨人に次ぎリーグ2位)と悪くありませんね。しかし、失策や記録に表れない守備のミスが投手陣の足を引っ張っています。

 守り切れないからムダな失点が増え、現状の得点能力(チーム得点338=87試合、広島は463=90試合)では追いつけない。負の連鎖が止まらないのです。

 何が原因か。正捕手を決めてこなかった。内野手のポジションを固定できなかった。外野の両翼が福留、糸井のベテランで中堅が決まらない。

 つまり金本監督の選手起用が守備力を向上させない一因であることは否定しようがないでしょう。スタメン起用する選手の物さしを打撃の好不調で決めてきた過去2シーズンのツケが出てしまっていますね。

 さらに阪神球団の戦力編成にも大問題があったでしょう。投手を中心とするセンターラインの強化が必要なのに、必ずしもそこに焦点を合わせていないようなドラフト戦略や他の補強の積み重ねが見てとれます。つまり球団も、金本監督も過去2シーズンで97失策、82失策という無残な数字があるにもかかわらず、そこに正面から目を向けていなかったからこそ、今季も最悪100失策ペースなのですね。

 ペナントレースを戦う上で本拠地での勝率は大きな比重を占めます。首位・広島はホームで29勝10敗1分。ロードでは24勝26敗です。ホームでの貯金19が極めて大きいですね。阪神はまず甲子園球場で勝てるチームへの変貌を遂げなければなりません。そうでないと金本阪神はいつまでたってもリーグ制覇には手が届かないでしょう。

 阪神は1985年(昭和60年)にリーグ制覇、そして西武を破って日本一に輝きました。その時の守備陣形は捕手・木戸で一塁・バース、二塁・岡田、三塁・掛布、遊撃・平田。中堅は弘田&北村でした。スカウト部長としてその陣形の土台を築いた小林治彦氏(故人)は生前、よくこう話していました。

 「昭和60年の陣容を見て何か気がつかないか。捕手と二塁、遊撃手は3人とも大学でキャプテンをしていた。意識的に3人を揃えたんや。センターラインが強固で、野球の視野の広い選手でないとチームは安定した戦いができない。意識的にスカウトしたんや」と…。

 そして、表面的にはバース、掛布、岡田のクリーンアップを中心とする打線で勝った印象の強い1985年の戦いを振り返り、こうも話していましたね。

 「阪神は伝統的に投手中心の守りの野球。1985年も守備力の充実とリリーフ陣の強化があってこそ強力打線が生きたんや。阪神球団が間違うのはいつも目が打撃に行った時や。打てばハデで気持ちいいからね。それに酔ってはダメや。これは甲子園球場をバックにして戦っているうちは不変の定義やで」

 シーズン100失策ペースを前に、小林治彦氏の言葉が走馬燈のように頭の中に浮かんでくるのです。阪神の球団首脳と金本監督はチーム編成を土台から見直さなければ明るい前途はありませんね。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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