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【科学特捜隊】復活!中日・松坂の新魔球 「唯一信用できる球」で変身

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力投を続ける松坂。カットボールを武器にした新スタイルに変身した   科学的なアプローチで斬り込むサンケイスポーツ東京発刊55周年企画「科学特捜隊」の第9回は、中日で復活を果たした松坂大輔投手(37)の投球術に迫る。各種スポーツのデータを収集、分析する「データスタジアム社」の協力により、今季はカットボールが球種別投球割合で直球を大きく超える41%も投げていることが判明。かつては剛速球と大きく曲がるスライダーで勝負していた“平成の怪物”の新境地に迫る。 (取材構成・伊藤昇)

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 剛速球と高速スライダーで「平成の怪物」と呼ばれてきた松坂が2018年、新スタイルを築いた。本人も「唯一、信用のできるボール」と語るカットボールを多投し、ゴロを打たせる技巧派として復活を遂げた。

 中日に移籍した今季は4月30日のDeNA戦(ナゴヤドーム)で4241日ぶりの国内勝利を飾り、ここまで3勝3敗、防御率2・41。ソフトバンクに在籍した過去3年間は右肩痛と闘い、登板1試合に終わっていたが、見事なカムバックを果たした。

 一球一打のデータを分析する「データスタジアム社」によると、今季の球種別投球割合ではカットボールが41%を占め、直球の24%を大幅に上回っている。その割合は12球団最多で、直球の少なさは先発67人中6番目につけている。

 西武時代、レッドソックス時代は直球が約半数のいわゆる本格派タイプだった。カットボールの割合は西武時代の06年が9%、18勝を挙げたレッドソックス時代の08年も17%だった。今季は同球で被打率・169はランク5位、ゴロ割合54・5%、空振り率10・7%は今季の国内平均を上回る水準で、現在は最も信頼できるボールといえる。

 松坂が投じるカットボールの特徴は直球との球速差が小さいこと。平均球速は直球が139・23キロで、カットボールが136・45キロ。その差はわずか2・78キロ。直球とほとんど変わらないスピードで鋭くスライドしている。

 制球力にも自信を持っている。カウント別の球種割合でストライク先行時の35%が、ボール先行時には56%まで跳ね上がる。ストライク率は球種の中で最も高い62・5%。苦しい時こそ信頼して投げているようだ。

 5回104球1失点で古巣から勝利を挙げた6月8日のソフトバンク戦(ナゴヤドーム)では、対戦した打者からカットボールに対するコメントが多く出た。3打数無安打に抑えられた上林が「直球がほとんどなかった。メジャー流でしたね」と語れば、松田も「(球が)動いていたのでなく、動かしていた。きれいな直球は1球もなかった」と古巣の仲間も驚く変貌ぶりだった。

 松坂は先発予定だった17日の西武戦直前に背中のけいれんを訴え、登板を回避。18日に「背部の軽度の捻挫」で出場選手登録から抹消されたが、7月には12年ぶりの球宴出場も期待されている。プロ20年目を迎えた37歳の新境地に注目したい。

★データスタジアム社・佐々木浩哉氏

 カットボールを投じた投手は2006年の51人に対し、今年は48人。松坂の渡米直前と比較してもそれほど違いはありません。メジャー流の「ボールを動かす」投球スタイルが日本でもよく知られるようになったことを踏まえると、意外の感があるかもしれません。

 ただ、使い方には変化が見られます。今季の松坂のように投球の40%以上を占めるケースはまれですが、20%以上投げる数は7人から20人にまで増えました。投球の組み立ての主要な球種として用いる投手が増え、かつての「刺し身のつま」のような脇役から脱却しつつあるといえそうです。

★野村弘樹の目

 今季の松坂はスタイルが大きく変わった。年齢や体の状態もあって、直球ばかりというわけにもいかず、カットボール主体の投球を確立してきた。球速は直球に近いが、それが本来のカットボール。球速差があって大きめに曲がるものよりも技術的には難しく、打者にとっては直球との見極めがしにくくなるので、より有効になる。球速帯に差はあるが、リベラ(元ヤンキース)も速いカットボールを投げていた。それに近いものがある。 (サンケイスポーツ専属評論家)

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