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【佐藤春佳のスポーツブレーク】数々の伝説とスター選手生んだ西武・若獅子寮

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若獅子寮の“出世部屋”は壁をぶち抜いた「13・14号室」。清原、松坂、涌井、菊池ら期待のルーキーが生活した  これぞ球界の昭和ノスタルジー?! 西武の「若獅子寮」(埼玉・所沢市)が姿を消すまで1年余りとなった。180億円規模の本拠地大改修の一環として来夏完成予定の新しい寮は、1階にウエートトレーニングルーム、2階にロッカー、3階に食堂やミーティングルームを備え、4階に居室がある超最新設備。今月4日に工事が始まった。

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 ボロい、汚い、狭い…。1980年11月に完成した12球団一古い選手寮は、時に“ネタ”にもされてきた。しかし、実際に過ごした選手たちはみな、笑顔とともに寮生活を懐かしむ。

 「ご飯はおいしいし、最高でした。まあ、どうやって門限を破るかの戦いでしたね」。おちゃめに振り返るのは西口文也投手コーチだ。山と湖以外には何もない環境に、遊びたい盛りの選手たち。寮長の目を盗み、塀を乗り越え…。門限破りの攻防には、愉快豪快な「伝説」の数々がある。

 若獅子寮の最大の特徴は、窓を開ければ目の前が西武第二球場という平屋造りの居室だ。「たまたま窓を開けて寝ていたら人の気配がして…」と恐怖(?)の体験を教えてくれたのは中村。飛び起きると、当時2軍コーチだった田辺前監督の姿が…。早朝出勤の際、中村の部屋を“通り道”にしていたのだという。

 豊かな自然ゆえ、虫や動物の出現は日常茶飯事で、90年代後半には“アイドル猫”もいた。ぐったりしていた猫を寮生が保護したもので、黒田哲史2軍コーチは「みんなが餌をあげすぎて、小さい猫がみるみる大きくなった」と振り返る。

 若獅子寮を愛したスターは多い。『出世部屋』と呼ばれる13・14号室を使った松井は「いつでも練習できて最高の環境でした」と言う。「寮の電話当番をしながら、1軍の試合をテレビで見ていたのが懐かしい」。夢に向かって研鑽(けんさん)した原点だ。

 高卒選手は4年で退寮できた当時、栗山は5年間過ごした。「気を使わず、好きな時に練習できる。最初は一刻も早くここを出たいと思っていたんですけどね(笑)」。夜中でも寮に隣接する室内練習場で打ち込んでいた“練習の虫”の逸話は、今も若手の手本だ。

 現在の寮は来夏以降に取り壊され、2軍球場のサブグラウンドに生まれ変わる。「すごく寂しいですね」と栗山。ハングリーに野球に打ち込める環境は、西武独特のたくましいスター選手を数々と育て、役目を終える。

佐藤 春佳(さとう・はるか)

 サッカー、アマチュアスポーツ担当として2004年アテネ五輪、10年バンクーバー冬季五輪を取材。プロ野球は05-07年に巨人を担当し、13-15年はヤクルト担当キャップ。趣味は宝塚観劇。今年は野球遊軍。

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