【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本阪神V構想は投打ともに崩壊寸前…この先2週間は監督力問われるターニングポイント - SANSPO.COM(サンスポ)

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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本阪神V構想は投打ともに崩壊寸前…この先2週間は監督力問われるターニングポイント

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8日の巨人戦で完封した秋山を笑顔で迎える金本監督。しかし先発陣の台所事情は厳しい  鉄人のV構想が重大ピンチ!! 阪神は11日の広島戦(マツダ)に1対14という大惨敗。3連敗で16勝16敗の勝率5割です。首位・広島とは4・5ゲーム差ですが、チーム状態を見ると金本知憲監督(50)の構想が投打ともに崩壊寸前なのが見て取れます。投では藤浪晋太郎投手(24)が不調で2軍落ち。打では4番のウィリン・ロサリオ内野手(29)がチャンスに打てない&波が激しすぎる打撃で打線を寸断。優勝争いに生き残れるのか敗走か…指揮官に第2のシナリオはあるのでしょうか? 監督力が問われる2週間になりますね。

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 「今年こそ優勝して星野さんとの夢を叶(かな)えたいです」。そう声を絞り出したのは金本監督でしたね。今年の1月4日に70歳で逝去した元阪神監督で楽天球団副会長の星野仙一さん。開幕直前の3月28日、大阪市内で行われたお別れの会で金本監督は涙を流しながら球界の恩人にVの誓いを立てたはずです。

 阪神にとって2005(平成17)年以来、遠ざかるリーグ優勝。そして、星野仙一さんが「最後の夢」と語った阪神と楽天での日本シリーズの実現。FAで阪神に移籍する道を作ってくれた故人の恩に報いるためにもチームを13年ぶりの頂点に導く…と遺影の前で誓ったのは金本監督でしたね。

 開幕から32試合が消化して16勝16敗。勝率5割をどう見るのか。首位・広島とは4・5ゲーム差です。まだまだ十分にチャンスはあります。いや誰も諦めてはいませんし、前に向いて進んでいくしかないはずですね。

 しかし、チームの内情を見ると険しい案件がすぐに見て取れます。投打にV構想を崩壊させかねないような誤算が渦巻き始めているからです。

 まず投手陣。なんといっても藤浪が不調で2軍落ちし、再昇格のメドも立っていません。ここ2年の不振で今季の立ち位置はそもそも微妙でしたね。開幕投手にメッセンジャーが選ばれ、秋山が2番手。藤浪の評価は3番手以降でした。

 そして、4月20日の巨人戦(甲子園)で5回6四球6失点KO。4試合0勝1敗、防御率5・40の不振で翌日に1軍登録を抹消されました。2軍降格後、5月8日のウエスタン・リーグのオリックス戦(シティ信金S)で初登板先発し、7回を5安打2四球9奪三振で無失点と好投しましたが、指揮官は「何回か投げて確信を持てないと…」と語り、再昇格には消極的でした。

 矢野2軍監督も「きょうぐらいの投球が続けられたら、いつでも(1軍に)いける形になっていけそうな内容」と話したものの、昇格を推薦するには時期尚早という空気でしたね。

 しかし、どう考えても納得がいきません。藤浪の類い希な能力を考えたとき、どうして2軍なのか…。どうして1軍の中で再生させることができなかったのか? これは確かに本人の考え方の甘さや野球に取り組む中での方法論の間違いもあったでしょう。では周囲はどうしていたのでしょう。ただ、黙って放っておいたのでしょうかね。

 方法論が違い、考え方に甘さがあるなら、監督や投手コーチはそれこそ膝詰めの話し合いでもして、お互いの考え方を理解し、また客観的な視点を十分に伝えることで再生への道筋を共に探っていくべきだったのではないでしょうか? 

 十分な指導力も発揮できず、結果が悪ければハイ2軍でやり直してきなさい…。これはプロ野球の常識論のようで、藤浪については常識から外れています。どうしてか? 藤浪が戦力になることで初めて今季の阪神が優勝争いの中で勝ち残れるチームである、と思うからです。それほど大事な右腕ですよ。繊細に注意深く扱い、チーム全体で復調の手助けをしないといけなかったのではないでしょうか。ダメならハイ2軍…。そんな位置付けの投手ではなかったのではないでしょうか。

 ネット裏の評論家も話しています。

 「藤浪が先発ローテにいないのは大誤算や。首脳陣は何を考えているのか?」とか「藤浪がこのまま終わってしまったら誰かの責任や。誰? わかるやろ」とか…。藤浪を2軍に“放牧”させている現状を阪神OBたちはほとんどの人が憂えているようですね。

 藤浪が2軍落ちして以降、案の定ですが、先発ローテーションは一気に苦しくなりました。ルーキーの高橋遥や谷川を先発要員に加えて、なんとか先発陣を維持していますが、勝ち星計算が立つのか? と言われればとんでもないですね。投げさせてみないと分からない。

 メッセンジャーと秋山だけでは勝ち星計算してもVラインに届かないと以前の、このコラムでも書いたはずです。まさに大誤算が進行中ですね。

 そして打です。4番のロサリオの打撃不振が長引いています。チーム32試合消化時点で、ロサリオは打率・244、本塁打3、打点16です。11日の広島戦でも4打数ノーヒット。8日の巨人戦(東京D)で看板直撃の3号を放って以来、15打席連続ノーヒット。これは2号を放った以降の打撃内容と酷似していますね。つまり一発を打った後に深い迷路にはまり込むのです。

 他球団の主軸が打率3割以上、打点も20点を超えている中でロサリオの波の激しい打撃は悩みの種になっています。32試合消化ということは他球団との対戦が2周りを終えたことになります。最初は慣れない相手で、攻め方や球種も分からず、どうしても当てにいく傾向が出る、と書きましたね。しかし、これからは様子が違ってきます。他球団の攻め方や投手別の傾向を研究して、いかに攻略するか。つまり知略が絶対に必要なのです。

 「ここ数試合を見ていると、初球のストライクを焦って振りにいっているよね。カウントを追い込まれたらダメだ…という意識が強すぎるんだ。もっと投手の配球を読んで、狙い球を絞って打てるようにならないと日本のプロ野球では厳しいかもしれない」と阪神OBは話しました。

 ロサリオは周囲に日本の投手たちのレベルの高さを話しているようです。客観的な評価を話すのはいいですが、それを攻略するのが自身の仕事なのです。

 重要な先発陣の駒が欠け、4番が機能していない。これは金本監督のシーズン構想を根底から揺るがす事態です。今季は戦力的に十分、優勝を狙える-とこのコラムでも書きました。しかし、与えられた戦力を評価に相当するレベルまで使い切ってこそ、前評判が成績に反映されるのです。与えられた戦力を使い切れなければ、前評判も一気に瓦解(がかい)します。投打には藤浪ロス、ロサリオの不振以外にも首をひねる大誤算が散見されます。高山、中谷、大山らの打撃不振もそれですね。

 誤算続出の中で、これからどうやって戦局を切り開いていくのか、まさに金本監督の手腕が問われます。チームは勝率5割ですね。この先、2週間が大きなターニングポイントになるでしょう。首位戦線に食らいつけるか、敗走するか…。誤算をはね返す第2のシナリオが鉄人の脳裏に描かれているのか否かも重要ですね。それが監督力を評価する最大のポイントになるでしょう。見守るしかありませんね。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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