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【科学特捜隊】’18DeNA・ラミ采配は“進化”した

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ノートを片手に選手交代を告げるラミレス監督。先発交代の見切りの早さが躍進を支えている  科学的なアプローチで斬り込むサンケイスポーツ東京発刊55周年企画「科学特捜隊」の第5回は、プロ野球の采配編。開幕から約1カ月が経過し、3、4月の先発投手成績ではDeNAが防御率でトップに立った。各種スポーツのデータを収集、分析する「データスタジアム社」の協力で、アレックス・ラミレス監督(43)が好投している先発投手を100球未満で交代させるケースが増加していることが判明。2018年の“ラミ采配”を掘り下げる。(取材構成・伊藤昇)

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 今月4日のDeNA-巨人(横浜)。石田と菅野の投げ合いで緊迫した展開が続いた0-0の七回、先頭のマギーに四球を出したところでラミレス監督がベンチからゆっくりと姿を現した。指揮官は6回88球2安打7奪三振と好投していた石田から三上にスイッチ。続く岡本を捕飛、亀井を二ゴロ併殺打でピンチをしのいだ。

 石田の状態がよかっただけに、早すぎるようにも映った継投策。だが、ラミレス監督は「彼は3巡目からスピードが落ちるところがある。(七回は)141キロくらいだった」。一回の148キロからの球速差が交代のサインだったと説明した。

 この早い交代こそが好結果に直結している。データをみてみよう。3、4月の24試合で先発が100球未満で交代した試合は実に15試合。そのうち5失点以上のKOは3試合だけで、その他は3失点以下と試合を作った。100球以上の先発が計9人なのはリーグ最少だ。

 顕著だったのが、8連勝が始まった4月7日の広島戦からの5試合だ。まずはバリオスが6回1/3、80球1失点でまとめると、京山(5回2/3、79球無失点)、飯塚(5回0/3、76球無失点)、平田(5回、78球無失点)、東(5回1/3、98球3失点)と先発陣はすべて100球未満で救援陣にバトンタッチ。3、4月の先発の平均投球数91・8球で平均投球回5・49回はいずれもリーグ最少で、先発陣の防御率は3・21でトップだった。

 ラミレス監督が指揮した過去2年間では16年の平均投球数は101・8球で平均投球回は6・22回。17年が99・3球で5・79回。防御率はともに3・76(リーグ4位)。今季は確実に改善されている。100球未満の交代は開幕投手の石田も例外ではなく、指揮官は「150キロや球数を多く投げて完封するのがエースではない」と話す。

 100球未満の交代は故障リスクが軽減されるだけでなく、打者に的を絞らせないメリットもある。2008年から昨年まで10年間の12球団全投球をまとめたデータによれば、打線の巡数別の被打率は1巡目から・248→・261→・276、4巡目も・273と高水準。早めの交代で高くなる被打率を回避している。

 今永、浜口、ウィーランドと昨季の2桁勝利トリオが開幕から出遅れた中で、2年目の京山、21歳の飯塚、D1位・東(立命大)ら実績の少ない若手を巧みに起用した采配は特筆に値する。先発は完投を目指して、できるだけ長いイニングを投げさせるという従来の野球観にとらわれず、今ある戦力をどう生かすか、という柔軟な思考力が好結果につながっていることは数字が証明している。

DeNA・今永「今年は井納さんも加わって後ろのピッチャーの層が厚いということも大きい。五回まででいいという気持ちは全くないし、どの投手も完投したいと思って投げている。でも、五回まで無失点に抑えれば、後ろが安定しているので試合を作れるという安心感はある」

データスタジアム社・佐々木浩哉氏「先発を早い段階で降板させることが多いラミレス監督ですが、米大リーグには2番手投手にロングリリーフをさせるタンデム(縦並びに馬をつなげた2頭立ての馬車の意)システムと呼ばれる運用法があります。昨年はフライボール革命を先導するなど先進的な取り組みを行うアストロズがワールドシリーズ2試合で適用し、優勝しました。相手打線への優位を保てること、球数を減らすことで故障のリスクを抑えられることなどは大きなメリットです。先発級が多数必要となるため日本で本格導入しているチームはありませんが、一週間で1~2試合程度ならフィットするチームもあるかもしれません」

★救援も充実!

 早い段階の継投策は、充実した救援陣が可能にしている。ラミレス監督は「優勝するために勝たないといけない。そのためにはリリーフの強化」と16年開幕投手の井納を今季から中継ぎに回し、井納→パットン→山崎の必勝リレーを確立。さらに昨季の勝ちパターンだった三上、砂田、エスコバーも控えている。3、4月の救援陣の登板はリーグ最多の85と登板過多が懸念材料だが、救援陣の防御率はリーグ2位の3.13と健闘している。

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