【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本阪神3年目は「監督力」問われるシーズン OP戦のようなふがいない試合再現されると… - SANSPO.COM(サンスポ)

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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本阪神3年目は「監督力」問われるシーズン OP戦のようなふがいない試合再現されると…

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オープン戦は最下位に終わった金本監督。シーズン本番では“変わり身”を見せたい  阪神・金本知憲監督(49)の「監督力」が問われるシーズンが始まります。阪神はオープン戦14試合消化時点で2勝11敗1分の勝率・154、12球団最下位です。指揮官は「別に関係ない」と平静を装っていますが、今週3月30日(金曜)の巨人戦(東京D)から始まる2018年シーズンで“変わり身”を見せることができますかね。生え抜きの若手育成を掲げ監督に就任してから4位、2位。暗黒時代とは違って、投打に駒はあります。選手起用、戦術、そしてビジョン…。監督としての力量、真価の問われる3年目の戦いがスタートします。

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 最初に断っておきますよ。現在の阪神タイガースの戦力はあの暗黒時代とは雲泥の差です。毎年のように最下位に喘(あえ)いでいたあの頃。それでも中村勝広監督は責任を問われることもなく6年目のシーズン(途中休養)まで采配をふるいました。

 「彼は調整能力に優れている」と当時の久万オーナーは、中村監督の手腕を“別の角度”で高く評価していました。いくら負けてもマスコミと険悪にならない。いくら弱くても現場とフロントが喧嘩(けんか)をしない。それが優れた調整能力と評価されたのです。

 よくよく理由を突き詰めていくと、オーナーでさえ監督に責任を取らすことができないほど戦力層が薄く、潤沢にお金をかけてこなかった台所事情が見えてきます。つまり監督に責任を取らせると、そんなチーム造りしかできなかった阪神電鉄本社がファンから突き上げを食らうことが賢明なトップには見えていたのでしょう。

 采配が素晴らしいとか、選手起用に冴(さ)えがある…とかでは褒められないから、調整能力に長(た)けている、としか言いようがなかったのだろう。今では遠い昔になったあの頃を思い出して、そんな風に思いますね。

 さて、本題に移りますね。2018年の阪神です。オープン戦は14試合消化時点で2勝11敗1分の勝率・154。下位打線の打者の打率よりも低い有り様で12球団最下位ですね。金本監督は「どうでもいいよ。別に関係ない」と気にしていない? 様子ですが、周囲はヤキモキして腰が浮いてきました。3月23日には鳴尾浜で行われたウエスタン中日戦、そして夜の京セラDで行われたオリックスとのオープン戦に坂井信也オーナーが駆けつけました。オーナーが昼夜ダブルヘッダーで視察したのです。

 しかし、夜のオリックス戦には1-3で敗戦。わずか3安打1得点の貧打を目の前で見た坂井オーナーは険しい表情でしたね。

 「心配やね…」

 声を絞り出していましたが、当然の正直な反応でしょう。心配で心配でたまらないはずです。

 オープン戦14試合のチーム成績を改めて見てみましょう。チーム得点は43(11位)、失点72(12位)、本塁打数6(11位)、盗塁数5(12位)、チーム打率・239(10位)、防御率3・75(6位)。どうですかね。まさに打てない、抑えられない、走れない、長打はない…。

 前回のコラムでも書きましたが、防御率が6位なのに失点は12位。これは守備の乱れによるアンバランスな数字です。エラーがあって投手の防御率を悪化していないわけで、これも中身は深刻です。球際に弱い、併殺が取れない、アウトにできる走者を生かして失点する悪循環を何度も目撃しました。

 そして、もう一度タイガースの戦力を見つめ直してみましょう。暗黒時代と呼ばれたあの頃、4番もエースも頼りなかったあの頃。故障者が出れば代わりの選手が枯渇していたあの頃に比べて現在の選手層はどうですかね。投打に豊富です。まさに雲泥の差です。

 春季キャンプ終了時、このコラムでも「タイガースは優勝に近い」と評価しました(3月4日コラム )。他球団のキャンプも見てきましたが、ブルペンの投手陣は質も量も阪神はリーグ屈指です。打撃陣だって色々なバリエーションが組めるタレント揃いです。決してBクラスに落ちる戦力ではありません。

 では、オープン戦の不振はどこに原因があるのでしょうか。色々なテストを繰り返し、勝負に徹していないから。キャンプ終了後も金本監督の方針で厳しく鍛えていて、選手たちに疲労があるから…。そんな救いの声も聞こえてきます。

 一方で捕手、二遊間、中堅のセンターラインが不安定で守備陣に不安がつきまとう。新外国人ロサリオが徹底した外角の変化球攻めで調子を落としている。二塁に転向した鳥谷が打撃の調子を崩してしまった…。メッセンジャーや藤浪にしても本番直前までピリッとしない。リリーフ陣にも昨季の登板過多の疲労からか不振な投手が散見される。これらの課題は果たして本番では改善するのでしょうか? あまりにも未知数な部分が多いのも事実ですね。

 金本監督は監督就任3年目のシーズンを迎えます。「超変革」という衝撃的なテーマでスタートしました。外部からの補強に頼らず、ドラフトで指名した生え抜きの若手を育てて、骨太のチームを構築する。鉄人のチーム改革にファンは大いに期待を寄せています。そして、厳しく激しく若手を鍛え上げて、過去2シーズンは4位、2位と右肩上がりの成績を残してきました。3年目の今シーズンはまさに大きな収穫を見せなければならない戦いのはずです。

 金本監督は昨季の終了後、2年契約が終わり、新たに3年を基本線とする複数年契約を結びました。阪神球団としては鉄人によるチーム改革をさらに中長期的に継続したい、というのが基本的なスタンスです。その方針が本当に揺らがないのかどうか。今シーズンの戦いはそれを見極める試金石ではないでしょうか。金本監督に改めて長期的にチームを委ねるべきか否か-。「監督力」への採点が弾き出される戦いが3月30日の開幕からスタートすると言っても過言ではないでしょう。

 坂井オーナーはかつて金本監督の「効果」をこう語っていました。

 「チームを変えるときは大きな名前の監督がいいですね。チームを変えるのは大変やし、時間がかかる。ファンやマスコミに待ってもらわないといけない。小さな名前だと待ってくれない。あれだけの大きな名前だと周囲が(監督に)与える時間が長い。金本監督は最適任者なのです」

 確かにおっしゃる通りです。ただし、監督就任3年目のシーズンは、まさにファンを2年待たせた後に到来したシーズンです。オープン戦のようなふがいない戦いがシーズンでも再現されるようだと、もうファンやマスコミは待たないでしょうね。

 監督の若手育成手腕、選手起用の冴え、戦略戦術の的確さ、チームの将来的なビジョンの的確さ…。監督に求められる条件はこれらです。特に暗黒時代と違うのは選手はいる!! という客観的な事実です。

 金本監督に「調整能力」など誰も求めてはいません。ゴツゴツと前に進み、チームを強化し勝つことだけがニーズですね。期待しましょう。金本阪神を-。「能ある鷹は牙を隠す」といいますよ。時は3月30日、場所は東京ドーム、相手は宿敵・巨人。凱歌(がいか)をあげてシーズンを突っ走ってください。そして「監督力」を見せつけてほしいものです。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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