【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】大和流失の穴埋まらない金本阪神…DeNA・高田GMの笑みが虎のアキレス腱ゾクリと刺す - SANSPO.COM(サンスポ)

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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】大和流失の穴埋まらない金本阪神…DeNA・高田GMの笑みが虎のアキレス腱ゾクリと刺す

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6日のオープン戦でロサリオ(右)と笑顔で話すDeNA・大和。虎に残っていれば…  高田GMの笑みこそ、金本阪神のアキレス腱(けん)をゾクリと刺しています。阪神はオープン戦連敗スタートですが、勝敗はともかく課題のセンターライン固定のメドが立ちません。金本知憲監督(49)はシーズンでも日替わり起用を示唆しました。一方で昨オフ、大和内野手(30)をFA獲得したDeNA・高田繁GMは阪神OBに「大和加入で絶大な効果がある」と笑みを浮かべました。大和-倉本-桑原でセンターライン固定のDeNAと大和流失の穴が埋まらない阪神…。シーズン成績に直結しないことを祈るばかりです。

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 大和の高い守備力を改めて痛感するシーンがありました。皮肉にも甲子園球場での阪神戦で。3月6日の阪神対DeNAの六回裏、0-3とリードされた阪神は1点を返してなおも一死二、三塁のチャンス。打者・中谷の打球は投手の左を襲う痛烈なゴロ。センターに抜ければ2走者がかえり同点になる場面でした。

 ところが、遊撃の大和は二塁ベースよりのゴロを余裕のプレーで捕球するや体を一回転させて一塁に送球。打者走者を楽々アウトにしました。結局、三塁走者だけがホームに。同点にできなかった阪神は九回にも失点して試合は3-5と競り負けたのです。

 「あのプレーが大きいよ。大和が余裕のプレーで打者を一塁でアウトにした。しかも同点を防いだんだ。DeNAのベンチや守っている野手も凄く安心感を覚えたはずだね。逆に阪神の選手たちは、あのプレーをどう見たのか。昨季まで大和が在籍していて、あのプレーを当たり前のように見ていただろう。それが失うどころか、優勝争いをするライバルチームに加わったんだ。この喪失感は計り知れないぞ」

 観戦していたチーム関係者の言葉です。

 大和が加入した効果を実は阪神OBはDeNAの高田繁GMから直接、聞いていました。6日~7日と行われた甲子園球場でのDeNA戦。試合前にベンチ裏で高田GMと話をした阪神OBはこう証言したのです。

 「高田さんは『大和を獲れて良かった』と本当に笑顔だったよ。あの守備力はチームにとって非常に大きい…と。『大和の守備を他のプレーヤーが見て、勉強になる点も大きい。ウチで頑張って将来の指導者になってくれればいい』と話していたんだ。なんだかウチの選手だったのに悔しい気持ちになってしまった」

 大和は昨オフ、苦悩の末にFA宣言を行い、DeNAに移籍しました。契約条件は年俸1億円の3年契約といわれています。昨季、阪神では100試合に出場し、打率・280、本塁打1、打点16でしたが、DeNAが高く評価したのは打撃ではなく守備力。遊撃だけではなく二塁も外野ならどこでも守れる高い守備力を買ってFA獲得したのです。開幕戦のスタメン起用も間違いないでしょう。

 逆に阪神はどうだったか。金本監督の昨季の構想では大和はレギュラーではありませんでした。二塁は上本、遊撃は北條で三塁は鳥谷。シーズン中盤に大和を遊撃のポジションに固定したのは北條の遊撃構想が崩れ、糸原が故障した後でした。こうした起用法が大和をFAに向かわせたと言っても過言ではないでしょう。

 そして、大和流失で今季の阪神の守備陣形はどうなるでしょう。春季キャンプで鳥谷を二塁に転向させ、三塁は大山。遊撃は糸原、西岡、植田で競り合わせていました。最終的に3月30日の巨人戦(東京D)で遊撃を守るのは「現時点では糸原が最有力」(阪神球団関係者)といいます。しかし、チーム内外に「糸原で140試合を貫けるかな…」と不安視する声は大きく、西岡や植田を含めた3人の中で打撃の調子のいい選手をスタメン起用するのでは…とみられています。

 金本監督自身も「その時の状況によって使いわけるしかない」と話していますが、それは遊撃のポジションだけの話ではありません。捕手は梅野と坂本の併用。二塁はさすがに鳥谷でしょうが、上本との併用策も囁(ささや)かれています。中堅は中谷や高山、俊介とこれも決まっていません。つまり昨年の開幕時にも課題だったセンターラインの固定は未だにできていないわけです。

 「センターラインを固定できるに越したことはないけど、現時点ではレギュラーを獲ったという選手がいない。誰かが勝ち取るまで競い合わせるしかない。金本監督もポジションは与えるものではなく、奪い取るものだ…という信念がある。今季もそのスタンスに変化はないだろう」とは球団首脳の言葉ですが、果たしてそれでチームはリーグ優勝に届きますかね。

 DeNAは大和の加入で大和-倉本-桑原とセンターラインが固定できました。広島は菊池-田中-丸。巨人は遊撃の坂本と中堅の陽が固定できています。長いペナントレースを勝ち抜くには投手陣を含めた守備力の安定が欠かせません。

 阪神をそれでも優勝候補と位置付ける理由は他のチームに比べて投手陣の質と量が充実しているからですが、バックの守備が綻(ほころ)べば自慢の投手陣の足を引っ張りますね。

 「そもそも捕手も二遊間もセンターも誰がレギュラーか未だに分からないのは異常だよ。競い合わせるのはいいけど、もう金本監督も3年目。そろそろ“レギュラーはアイツ”と指名して本人に自覚を求めるのも必要ではないか。今のような状況が続けば、内野の守備力は本当に不安だ」

 阪神OBは声を落として話しました。

 大和を獲得したDeNAの高田GMは過去に日本ハムやヤクルトでもチーム造りを担いました。チームはその後、優勝に届いています。チーム造りにおいて、まず大事なのは設計図です。投手陣を中心とするセンターラインを確立し、4番を中心とするクリーンアップが完成すれば安定した戦いができるでしょう。高田GMがDeNAの初代GMに就任したのが2011年12月でしたね。そこから7年で筒香を中心とする打線を作り、投手陣を整備し、大和加入で内野陣も締まりました。

 昨季、DeNAはCSを勝ち抜き日本シリーズに出場しました。今季も優勝候補の一角です。一本、筋が通ったチーム造り。ビジョンのあるチーム造り。あまり褒めてばかりではしゃくに障りますが、一方の阪神の現状を見るとどうも編成計画がギクシャクしていませんか。それがセンターラインの固定につながらない一因でもあるのではないでしょうか。

 ひとつのポジションに選手がダブったり、他のポジションでは人が足りない…。若手育成路線なのに福留、糸井、鳥谷のベテラン依存から抜け出せない。

 なんだかネガティブな話ばかりになりました。それでも阪神は投手陣がいいから優勝候補だとは思っています。これで早い時期にセンターラインが固定できればシメタものです。大和のプレーを羨望のまなざしで見ているうちはダメですね。現有の若手選手たちに奮起を望むしかないですね。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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