【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】優勝近い今年の阪神にD4・島田と4年目・植田が存在感 2つの海が“満潮”なら打線に激流 - SANSPO.COM(サンスポ)

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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】優勝近い今年の阪神にD4・島田と4年目・植田が存在感 2つの海が“満潮”なら打線に激流

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12日の紅白戦で二盗したD4・島田海吏。右は植田海。俊足2人が虎に新たな機動性をもたらす  2つの海が“満潮”を迎えるなら、阪神の野球は劇的に変化します。春季キャンプも最終クールです。新大砲ウィリン・ロサリオ内野手(29)が期待通りの打撃を見せるなど順調に仕上がっていますが、ここに来て球団内外で注目を集めるのがドラフト4位ルーキー島田海吏外野手(22)、そして大和の抜けた遊撃で存在感を示し始めた4年目の植田海内野手(21)ですね。俊足2人がポジションを奪えば阪神打線に新たな機動性をもたらします。2人の存在がチームに激流を生むかもしれません。

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 まさに光陰矢のごとし…ですね。春季キャンプもいよいよ最終クールを迎えました。28日に打ち上げると、その後はオープン戦に突入。3月30日の開幕戦(巨人戦=東京D)まで後1カ月となりますね。

 春季キャンプでは阪神はもちろん、他のセ・リーグ5球団も全て見ました。あくまでも現時点での感想を言うなら、辛口の私でもハッキリと言い切れます。

 「今年の阪神は大チャンス。優勝を狙う、ではなく優勝に最も近いのだから絶対に勝つ!! という気概で臨んでほしい」

 これが偽りのない私の評価です。3連覇を目指す広島は確かに強いですね。昨季の後半に右足首を骨折した鈴木誠也の調整が遅れていた時期もありましたが、ここに来てしっかりと仕上げてきました。昨季は6勝で終わった左腕ジョンソンが復活すれば投打に充実しています。最大のライバルでしょう。巨人もゲレーロの加入で打線は強力。侮れません。それに昨季の日本シリーズ出場で若手が自信を付けたDeNAも手強(ごわ)いですね。

 しかし、阪神はメッセンジャーを中心とする先発陣、そしてドリスやマテオ、藤川球児らタレント揃いのリリーフ陣と投手陣の層が厚い。新加入のロサリオが春先から打てば十分に戦えるどころか、リーグの中でもトップクラスの充実度だと思っています。辛口の私がここまで言うと、なんだか裏に“思惑”でもあるのか? と思われるかもしれませんが、1カ月の取材の結果を正直に書いているだけです。

 そうした阪神の中でさらにチーム力を肉付けできそうな新戦力が2人います。ひとりはドラフト4位ルーキーの島田海吏外野手です。上武大から入団した当初は“桐生に勝った男”として話題になりました。熊本県宇土市出身で、中学時代(宇土鶴城中)は軟式野球部に所属していながら、俊足を買われて陸上大会にも出場しました。3年時には100メートルで全国大会に出場し、準決勝で桐生祥秀(現東洋大)に先着したのです。

 あの100メートル、日本人で初めて10秒の壁を破った桐生に勝った俊足。だからキャンプイン当初は「足が使えるか?」という認識だったはずです。ところが、バットを持たせた途端、金本監督ら首脳陣の目が輝きました。

 「体も小柄だからボールを転がして一塁に走り込むタイプかな…と思っていた。ところが、スイングに力がある。意外に打球が飛ぶし、強い打球が打てる。首脳陣の評価が急上昇したんだ」とは阪神OBの言葉です。

 21日の韓国KIAとの練習試合では1番センターで先発出場すると、五回に右翼に本塁打を放つなど2安打2打点。そこまで実戦6試合すべてにスタメン出場をさせている金本監督も「不意に来たインサイドの投球に対してのバットの出方というか。なぜか捉えることができる」と絶賛。「結果を出した者が(センターを)勝ち取るわけですから。わからんよ。高山ビビッていると思うよ、何回も言うけど…」と続けたのです。

 ネット裏で見ていた広島の玉山スコアラーも「タイミングがうまくとれている。ロサリオ、福留、糸井の前にああいう選手がランナーにいると気を使いますよ。対左腕も苦にしていない感じ」と警戒警報ですね。

 今やチーム内の位置付けは中谷、高山とセンターを競り合い、このまま順調なら開幕スタメンもあり得る所まで来ていますね。

 そして、もうひとり。昨オフに大和がFA移籍でDeNAに去り、ウイークポイントとされてきたのが遊撃手です。そのポジションを狙う植田海内野手が注目を集めています。滋賀の近江高から入団して今年で4年目です。今キャンプでは遊撃や二塁手として実戦テストを受けています。

 現時点での遊撃の一番手は2年目の糸原でしょう。そこに復活を目指す西岡剛もいます。植田海の位置付けは2番手か3番手…というのが現状かもしれません。

 しかし、チームの周辺からは植田推しの声が聞こえてきますね。

 「確かに打力だけを見れば糸原や西岡となる。しかし、遊撃は広い守備範囲やスローイングの安定感が求められる。それに打線の中に入れば足の使える選手の方が他のメンバーとのバランスも良くなる。将来性を考えても植田海を使う手はあると思う。今季は少し我慢して使っていけば将来の不動のショートという存在になりそうだ」

 打線の中軸は福留、ロサリオ、糸井、鳥谷となります。その前後をつなぐ存在として機動力を使える選手が多くいた方が攻撃のバリエーションは豊富になります。すなわち、島田や植田といった俊足の選手が打線に入れば阪神の攻撃パターンは大きく変化します。機動性を生むことで中心打者に対する相手バッテリーの集中力が薄れます。ロサリオらの打撃にも相乗効果が生まれるというわけです。

 「足が速い走者がいればバッテリーの打者に対する神経の使い方が全く違ってくる。足は武器。使わない手はない」とはチーム関係者の言葉でもあります。

 不思議な語呂合わせですね。島田も名前が「海吏」、植田も名前が「海」です。カイリとカイ…。読み方は「ウミ」とは違いますが、2人の海が“満潮”になれば、金本阪神の攻撃パターン、つまり野球が大きく変化するのです。楽しみな存在ではないでしょうか。

 冒頭に書きました。今年の阪神はかなり優勝に近い…と。もし、島田や植田がラインアップに入ってくることになれば、さらに厚みは増します。

 さあオープン戦も始まります。現時点での評価が今後どのように変化していくのか。もっと確信を持てるのか。ワクワクしながら阪神を追いかけましょう。あと開幕まで約1カ月です。時間は刻々と過ぎていきますよ。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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