【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】阪神・ロサリオの超ハイペース調整に隠された2つの危機管理 バース級活躍なら日本一見える! - SANSPO.COM(サンスポ)

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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】阪神・ロサリオの超ハイペース調整に隠された2つの危機管理 バース級活躍なら日本一見える!

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11日に行われたDeNAとの練習試合で一回、本塁打を放ったロサリオ。まさに名刺代わりの一発だった  ロサリオの超ハイペース調整には2つの隠された危機管理があります。阪神は沖縄の「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」で春季キャンプ中です。話題はウィリン・ロサリオ内野手(28)一色ですね。練習試合、紅白戦で豪弾を連発し、本物の大砲襲来!! と金本知憲監督(49)ら首脳陣は目を見張っています。周囲の喧騒(けんそう)もどこ吹く風でロサリオは実戦への出場を直訴、練習でも手を抜かないハイペース仕上げですが、その裏には考え抜かれた理由があったのです。これはやるかもしれませんぞ!!

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 まさに日本球界の話題がロサリオ一色になっています。宜野座のグラウンドで日々、炸裂(さくれつ)する大きな放物線。11日に行われたDeNAとの練習試合では相手先発の飯塚から初球を左中間に放り込む本塁打。さらに13日の紅白戦でも秋山から同じ所にブチ込みました。連日のフリー打撃では左翼後方に張られた防球ネット越えのアーチを放ち、後方の道路を通行中の車にあわや直撃、というシーンも…。慌てた球団側はロサリオのフリー打撃中は道路の通行を禁止しましたね。

 打撃ケージ裏で見守る金本監督ら首脳陣は惚れ惚れする放物線に目を見張り、「ちょっと(これまでの助っ人とは)違うな」という片岡ヘッド兼打撃コーチの言葉が心境を表しているでしょう。大砲襲来の情報は宜野座から日本球界に発信されています。

 他のキャンプ地でライバル球団の監督たちが「ロサリオは打つらしい」と異口同音に話しているのです。リーグ3連覇に挑む広島の緒方監督は「色々な人にロサリオについて聞いてみたんだ。その誰もが打つぞ…と言うんだ。本当に打つらしい」と話せば、巨人の高橋監督も「ロサリオはいいらしいね。打つって聞いている」とうんざりした表情を浮かべたそうです。11日の練習試合で目の前でパワーを見せつけられたDeNAのラミレス監督も「警戒しないといけないね。あのパワーは凄い」と顔をしかめました。

 まさにロサリオ警戒警報が日本球界を激しく揺さぶる事態なのですが、ロサリオ自身は手を抜くどころか、キャンプ初日からの超ハイペース調整を緩める気など全くないのです。特別待遇のない練習メニューを懸命に消化し、実戦への出場を休む気配もありません。どうしてか? そこにはロサリオが考える2つの危機管理があったのです。

 まず1つ目ですが、これは韓国球界と日本球界の違いに起因します。ロサリオは昨季まで韓国のハンファで2シーズン、プレーしました。成績は2016年が127試合に出場、打率・321、本塁打33本、打点120です。昨季が119試合出場で打率・339、本塁打37本、打点111。

 その前の米メジャー、コロラド・ロッキーズでは5シーズンで通算打率・273、本塁打71本、打点241をマークしていることを思えば、韓国球界での成績も当然のようにも思えます。

 しかし、ロサリオは今回の日本球界入りの際に「韓国で打てたから日本でも当然、打てるさ」とは思っていなかったそうです。

 「ロサリオは非常にクレバーな男なんだ。韓国野球と日本のプロ野球の違いをよく研究してきたんだよ。大きな違いは先発陣のレベルではなく、先発が降りた後の投手のレベルなんだ。日本は先発が降りてもそれ以上の投手が出てくる可能性がある。韓国は先発が降りると後のレベルが落ちるんだ。その違いに着目しているんだ」

 これは球団関係者の話です。つまり韓国で3割、30本、100打点を稼いだからといって、日本でも同じように数字を残せるとは考えていないのです。リリーフの質が違う日本球界で韓国時代と同じ成績を残すためにはよりスイングスピードを磨く必要がある、とみているそうです。自身の打撃をさらにバージョンアップしないと日本では生き残れない…と考えているのですね。だから春季キャンプでの練習で手を抜かず、実戦に積極的に出場してスキルアップ&日本の投手に慣れる…作業を懸命に行っているわけですね。

 そしてもうひとつ。これは自身のピークを春先に持ってこようという逆算です。開幕は3月30日の巨人戦(東京D)ですが、春先からベストな状態を作り、試合に臨もうとしているのです。なぜか?

 ひとつは韓国時代はスロースターターと言われていました。暑い夏場を迎えると調子が出てくるタイプ…と評価されていました。

 しかし、夏場から調子を上げたのではチームの成績に大きく貢献ができない危険性があります。夏場を迎える頃には順位がある程度、見えているからです。

 開幕ダッシュを見せればチームも乗っていきますね。ロサリオのバットがタイガースを優勝争いに、欲を言えば首位独走に導くとすれば、それは春先からの打棒爆発でしょう。

 さらに言うなら、金本阪神は3年目を迎えています。ある意味、勝負の年です。もしロサリオが春先から不調なら我慢してスタメン起用を続けるでしょうか。年俸3億4000万円の外国人だけに、チーム内には「年俸が高いから、いくら監督でも我慢するでしょう。3億円助っ人をベンチに置くわけにはいかないはず」という声がありますが、それでもチャンスに凡退、チームは敗戦という悪循環となれば我慢も限界になりますね。

 ロサリオとすれば阪神における立場を確立するためにも今季に限り「スロースターター」は許されないのです。逆算して調整すれば、おのずとハイペース調整になるわけですね。まあ、本人は今の状況をハイペースとは思ってはいないでしょうね。シーズンに向けての危機管理を考えれば、自然と積極的にやるべきこと、なすべきことをやっていく…ということになっているのでしょう。

 「ロサリオがこの調子で打ってくれれば福留や糸井、鳥谷らも生きてくる。これで投手陣が昨季のような状態をキープできれば…。広島の3連覇を阻止するのはウチではないか」とは球団幹部の言葉です。

 なにやら鼻息が荒くなってきました。2005年以来、遠ざかるリーグ優勝。日本一は1985年(昭和60年)からありません。その1985年、チームをVに導いたのはランディ・バースでした。

 三冠王を獲得した強力助っ人はあの当時、阪神ファンから「神様、仏様、バース様」と拝まれました。ロサリオがバースのような活躍を見せることができれば33年ぶりの日本一だって夢ではないはずです。ビッグトロ!! 頑張ってちょうだい!!(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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