【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】藤浪を最後に救うのは藤川と甲子園―今季初登板は4月13日からのヤクルト3連戦が理想か - SANSPO.COM(サンスポ)

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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】藤浪を最後に救うのは藤川と甲子園―今季初登板は4月13日からのヤクルト3連戦が理想か

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7日の紅白戦で2回2失点だった藤浪。金本阪神の投手陣のキーマンだ  藤浪復活の最後の鍵は藤川球児と甲子園球場が握っている、と言うのです-。阪神は沖縄の「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」で春季キャンプ中ですが、投手陣の注目点は2年連続で不振の藤浪晋太郎投手(23)が復活するかどうか…です。7日の紅白戦では紅組の2番手で登板し、2回4安打2失点。ステップの幅を縮めた新フォームを披露しましたが先行きは不鮮明でした。復活が渇望される右腕に阪神OBは「最後は球児と甲子園が晋太郎を救ってくれる」と話しました。どういうことでしょう-。

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 極寒の日本列島ですが、やはり沖縄は違います。太陽が顔をのぞかせると気温は15度を軽く超えていきます。じっとしていても、うっすらと汗が出てくる暖かさですね。金本阪神は、宜野座のグラウンドで40人の1軍キャンプ参加メンバーが泥と汗にまみれて3月30日の開幕・巨人戦(東京D)から始まるシーズンに向けて激しく鍛えています。

 投打に注目ポイントは多いのですが、なかでも投手陣で最大の注目点は藤浪の状態に尽きるでしょう。2013年のルーキーイヤーは24試合に登板し、10勝6敗、防御率2・75をマーク。その後も14年が25試合に登板、11勝8敗で防御率3・53、15年は28試合に登板し、14勝7敗、防御率2・40と順調に勝ち星を積み上げてきました。ところが、16年に7勝10敗とつまずくや、昨季はわずか11試合に登板しただけで3勝5敗、防御率4・12でした。まさに急降下ですね。

 今季は豪腕が甦(よみがえ)るのか否か-。誰もが藤浪のマウンドの姿に注目していますね。そして、キャンプの2月7日には紅白戦の紅組の2番手で登板しました。プロ入り6年目で最速の実戦登板です。

 「この時期に投げさせられる、というのは結果を出さないと先発ローテーションも1軍枠も厳しくなるということ。首脳陣は他の若い投手と競り合わせて結果を残した方を使う…というプロ野球界で当然の競争原理に藤浪を置いて観察しているのだろう」とはチーム関係者の言葉です。

 つまり、ここ2年の不振で藤浪は無条件で1軍枠や先発ローテーションが得られる立場ではなくなっている、というわけですね。自分の立場を築くには「イップス」と噂される右打者の内角をきっちり投げられ、本来の姿を取り戻さなくてはなりません。もちろん、藤浪自身も自らが置かれた状況を知り尽くした上でマウンドにあがったはずですね。

 そして結果は2回を投げて4安打2失点。登板した初めの回は無難に抑えましたが、2イニング目には中堅・高山の拙守こそありましたが、走者を出すとバタバタと崩れる気配が流れていましたね。昨季からの不安な状態を払拭している…とはとても言い切れません。

 藤浪自身は「ブルペンからすると今日はもうひとつ。バランスとか力を抜くことを意識してやっているけどまだ作っている途上です」と話していました。

 藤浪の投球フォームを見ていた阪神OBは「明らかにステップする左足の踏み出す位置が小さくなっていた。歩幅が狭くなったね。全体的にコンパクトだった。ただ、右腕の振りは角度があって良かった。昨季のような暴れるボールがなかったのは収穫といえる」と話しました。そして、こうも付け加えましたね。

 「今の投球フォームで迫力があるか…と言われればそれはない。打者目線で見ても怖さがないだろう。しかしな、昨季にあれだけ状態が崩れたんだ。今は崩れた状態をリセットしている段階なのだから、もう少し周囲も黙って見てあげるべきだね。あくまでも途中経過だと…」

 確かに昨季に何度も見られた右打者の頭部付近にすっぽ抜ける直球はなかったですね。1月には米国でダルビッシュやカーショー(ドジャース)らと自主トレを行い、先輩の考えも吸収しながら投球フォームを固めていったのでしょう。それが3年前から比較すればコンパクトな投球フォームに落ち着いたのかもしれません。ただし、基本的な動作に自信を持てれば7日は最速だった150キロの球速が徐々に上がってくることも期待できます。

 結局のところ、現時点では合格も不合格も出すことが時期尚早と言えるわけです。これからシーズンに向けてクリアしなければならないハードルは何度もありますね。

 そんな右腕に対してある阪神OBは復活への最後の鍵を握るのは「藤川球児と甲子園球場だ」と話したのです。それはどういうことか-。

 まず藤川球児です。昨季は中継ぎ陣をまとめるなどマウンド以外の所でもチームへの貢献が評価されました。今やその存在は虎投の精神的な支柱といってもいいでしょうね。だから藤浪の復活には欠かせない、というのです。

 「藤浪はどちらかと言えばコーチや首脳陣と意見交換しながら進めているのではなく、先輩など同じ選手目線の人と話して参考にしている傾向が強い。ダルビッシュや前田健太らに話を聞きにいくのがそうだろう。阪神というチームの中でそんな存在がいるとすれば、それが藤川球児。また球児も藤浪のことは心配しているはず。マウンド上のことや、コンディショニングのことなど球児にいろいろと聞いていけば大いに参考になるはずだ」とは阪神OBの言葉です。

 確かにカブスやレンジャーズなどのメジャー経験もあり、かつては火の玉ストレートで虎の守護神を務めた球児なら、藤浪の“復活ナビゲーター”に最適です。対症療法の引き出しも多いでしょう。

 そして、甲子園球場がもうひとつのキーワードだと言うのです。

 「藤浪にとって今季は最初の登板が一番大切だね。悪い流れを断ち切れるかどうか。最初の登板の結果が大きい。ダメならまた尾を引く。だから今季初登板は慣れたマウンドで、しかも阪神ファンの大声援が背中を押してくれる場所がいい。甲子園球場以外にないだろう」と話しました。

 しかも、対戦相手は機動力をあまり使わないチーム…。日程を見れば4月13日からのヤクルト3連戦(甲子園球場)が当てはまりますね。開幕から5カード目ですが、じっくりと調整させて復活マウンドを用意する方がいいかもしれません。

 ここまで最大限に配慮するのは少し過保護? とも思えますが、これまでのプロセスを見れば仕方ないかもしれません。藤浪が復活し、本来の投球を取り戻せればチームのV確率はグーンと上昇しますね。一度、ドロ沼に落ちたのです。自分ひとりで這(は)い上がれ…と突き放すのではなく、チーム全体として、できるだけの配慮と気配りをして復活をアシストすべきかもしれませんね。

 プロ野球は、最後は個人です。やるか、やられるか…。しかし、野球は団体競技でもあり、チームには協力し合ったり、助け合ったり…という仲間の輪があるはずです。藤浪をひとりで彷徨わせるのではなく、あらゆる手段を使って甦られなければなりませんね。そのキーワードが球児と甲子園球場というわけです。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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