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【球界ここだけの話(849)】悲願達成!? 糸井が阪神で“奪い返した”モノとは

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18日のDeNAとのオープン戦の二回、中堅手・糸井はロペスの打球を追い捕球体勢に入る  ついに守った! センター糸井だ! 最終段階まで来たぁ!! ファンも「感無量や」-。

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 ワールド・ベースボール・クラシックの裏で、浪速のマスコミとファンは盛り上がっております。「何と大げさ、野球選手が守るのは当たり前」とあきれるなかれ。これが虎党の楽しみ方。分からないかなぁ…。

 ただ、この「センター糸井」におそらくファン以上に興奮している人物がいるのをご存じか? “あの方”の証言が確かなら、こみ上げる喜びに震えているのは、糸井自身のはず。長年の悲願がかなったのだから。

 “あの方”とはオリックス・福良監督。糸井が今も師と仰ぐ人が日本ハムヘッドコーチだった2012年のこと。その年、糸井は中堅から右翼にコンバートされた。前年の「センター糸井、ライト陽岱鋼」を入れ替える決断を、栗山監督が下した。一塁走者のイッキ三塁進塁が気になっていたためだ。通告したのが福良当時ヘッド。

 「センターの守備力は変わらない。ならば(糸井)嘉男の強肩を生かす布陣の方がいい」

 懇切丁寧に、わかりやすく説明した、と“あの方”は笑いながら振り返ってくれた。

 ところが、配置転換に大いに不満を示したのが糸井本人。監督命令だから右翼の守備に就いてスーパープレーを披露し続けたものの、以降、福良ヘッドの顔を見るたびに叫んだという。

 「必ず奪い返してみせます!」

 糸井の受け止め方は「センターを奪われた」だったのだ。

 「そうじゃない、と何回説明しても納得しないんや。センターに対する思い入れは相当やったやろな」

 オリックスのヘッドコーチ&監督と選手の間柄になっても、時折、言ってきたそうだ。「センターを奪い返します」と。

 だから、FA宣言を行使して阪神移籍したことによって生まれた「センター糸井」は、本人にしか分からない感動があるのでは? ひょっとしたら、阪神が提示した数々の破格の条件の中で、一番効果があったのは「センターを守ってもらいたい」だったのではないか、と感じている。

 ただ、このストーリーには、もう一つの真実がある。それは日本ハムがコンバートした理由。糸井の肩を生かしたのは事実だが、同時に糸井の脚力が下降線をたどり始めたという現実も隠せない。誰も明言しないが確かなこと。誰も本人には告げていないはず。判断が下されてから5年の歳月が流れている。

 その間、糸井は何度も下半身の故障に見舞われてきた。そして、日本ハムに続き、オリックスも中堅は極力、守らせなかった。

 センターに戻って元気を取り戻した糸井のプレーは楽しみだが、「年齢」というあらがえない不安は付きまとう。日本ハム&オリックス首脳陣の判断が正しかった、というストーリーは避けてもらいたいのだが。(上田雅昭)

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