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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】金本監督、今は我慢と忍耐のとき…容赦ない言葉や自虐的な言葉は慎むべき

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ベンチで“檄”を飛ばす阪神の金本知憲監督=ナゴヤドーム(永田直也撮影)  若手選手に対する容赦ない言葉や、現有戦力に対する自虐的な言葉は慎むべきですね!! 6月を8勝14敗で終わった金本阪神。窮地に立たされた金本知憲監督(48)の試合後のコメントも若い選手への叱咤(しった)激励? や戦力への自虐的な言葉が出始めました。しかし、一軍監督はタイガースのリーダーです。口から発する言葉は全軍やファンが耳をダンボにして聞いています。7月3日に中日に敗れ、ついに最下位転落。今は起用法も言動も我慢と忍耐…。それが最善の打開策でしょう。

 交流戦の中盤から投打の歯車は狂いっぱなしですね。というか、打てない、守れない…。ネット裏から見ていると、なんだか暗黒時代を思い出すような戦いぶりです。6月は結局、8勝14敗。楽天戦に連勝が1回あるだけで、チームに勢いを感じません。借金は増える一方で、自力V消滅の危機も迫っています。

 当然ながら、ネット裏は騒がしくなってきました。

 「戦う形が見えない。若手育成というが、とっかえひっかえでポジションを安定できないから、結局は若手も伸びない」

 「投手陣はまだなんとかなっているが、打線はひどい。若手選手の打撃も同じ傾向で打てていない。どういう指導法なのか疑問を感じる」

 「若い選手は監督の顔色ばかりをうかがっているように感じる。もっと伸び伸びとプレーさせる雰囲気がないとダメだろう」

 阪神のOBらネット裏の関係者からはさまざまな声が漏れてきました。3月25日の開幕戦・中日戦(京セラD)から金本新監督の掲げる「超変革」路線を見守ってきたOBや関係者は、ここに来て一様に首をかしげ始めたのです。

 プロ野球は勝負の世界です。このコラムでも以前、「若手育成は勝利至上主義の中で行わなければならない」と指摘しましたね。「勝つ」ことがあってこそ、若手に自信が芽生え、プレーに確信が掴(つか)めるのです。こうしたグラウンド外の反応もチームが勝てないからで、勝てば雑音などすぐにかき消されますね。

 しかし、ここ最近の現象では、ネット裏の雑音? よりも気になる発言があります。それは試合終了後の金本監督の言葉ですね。

 6月30日のDeNA戦(甲子園)では久保康に3安打完封負けを喫したのですが、八回裏二死一塁で3球三振を喫した代打の江越に対して「同じボールを3球で終わるっていうのは、バッターとして恥。1軍のバッターじゃないね。ただ真ん中だけを狙って、それを気持ち良くカーンと打とうなんて、そりゃあ…」とコメントしました。

 3球三振の江越は「気持ちは入っていましたが…」とうなだれていましたが、翌日に大々的に報じられた監督のコメントを読んで、どんな反応だったかは定かではありません。でも、「バッターとして恥。1軍のバッターじゃない」と断じられた言葉は胸に突き刺さったでしょう。

 さらに、監督は低迷するチームの戦力についても「誰を(スタメンで)行くん? おらんやん。現状のベストを選んでいる」とも話しましたね。

 どうでしょう。聞きようによれば、かなり自虐的なコメントですよね。

 確かに苦しい胸の内は分かります。期待を込めて起用を続ける若手たちは結果を出せず、モロい姿を見せて、チームも負ける。中堅からベテランの選手たちも元気がなく、チームを活性化させる新戦力も見当たらない。指揮官とすれば、若手に対する叱咤激励の意味も込めての厳しい発言だろうし、チームの戦力に対する言葉も正直な“感想”であるでしょう。

 しかし、こうした発言の傾向は負けが込むと拍車がかかりやすく、その厳しい言葉の数々はまるでブーメランのように自身に返ってくるでしょう。であるなら、今は我慢と忍耐で、敗軍の将は兵を語らない方がいいでしょう。

 まず、若手選手には経験もなければ、安定した成績を残せるだけの実力もついていません。春季キャンプ以来の「超変革」はそうした現状を知り尽くした上でのスローガンだったはずです。以前のコラムでも書きましたが、若手育成を貫くならば、「ちゃんとした考え方と練習」という監督就任会見で語った通りの地道な努力を積み上げるしかありません。試合に出せば失敗もするでしょう。要求にいつもいつも応えてくれるはずはないはずです。要はそうしたイバラの道を選んだということです。

 しかし、試合での無様(ぶざま)な有り様を、追い打ちをかけるように言葉で責めても、若手選手にはそれをかみ砕いて、成功へのエキスにするだけの精神的、技術的な余裕はないでしょう。この江越の三振を見たネット裏のある評論家はこう言いましたね。

 「まるで見逃し三振をするとベンチに帰ってからどやされるので、無我夢中でバットを振ってしまったように見える。もっと心の余裕を与えないと。精神的に追い込まれているのではないか」

 指揮官の発言は若手たちのプレーに「呪縛」をかけている…とも受け取れる指摘でした。若手を使い続ける以上、もっと伸び伸びとプレーできる雰囲気作りも必要でしょうね。ならば、「恥や!!」などという強烈なフレーズはかえってマイナスになるはずです。

 さらに、戦力的な部分での自虐的な言葉も損はあっても得はありませんよ。なぜなら、新監督就任と同時に、阪神本社、フロントは最大限の戦力補強を提案したはずですね。それでも、若手育成路線を掲げて大型補強を求めなかったのは金本監督自身です。今頃「おらんやん!!」と言っても、それは本社やフロントからすれば「ホレ見たことか」でしかないでしょう。

 結論的に言えば、やはりチームには勝負を背負える大物の中心選手が必要だったでしょう。かつての西武は、石毛や秋山、伊東らを育てるために田淵を獲得しました。現在のソフトバンクも若手を育てるために内川らのFA大型補強を敢行したのです。若手を育てるためには、大きな風よけが必要なのです。それを欲しなかったことが大きな過ちなのです。

 話を戻します。厳しい言葉は若手を萎縮させ、試合に勝てないという負のスパイラルは監督自身に跳ね返ってきます。そして、戦力的な自虐的発言はフロントとの関係に影響するでしょう。ならば、どうすればいいか? たったひとつです。我慢と忍耐で、信じた道を突き進むしかありません。「ちゃんとした考え方と練習」の日々をひたすら続けるしかないでしょう。

 阪神タイガースは人気球団です。勝てなければその反応も強烈です。でも、ファンは12球団で一番、熱くて愛情もあります。やっていることに筋が通っていれば、きっと厳しいヤジを飛ばしながらもついて来てくれるはずです。今は若手たちの汗と涙を信じるしかないですね。極めて苦しい選択肢ですが、他に逃げ道はないですね。(毎週日曜に掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2年)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長を経てサンスポ初の特別記者。2014年10月1日付でサンスポ代表補佐を兼務。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「NEWS TONIGHT いいおとな」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」ではゴルフ場紹介をサンスポに掲載、デジタルでも好評配信中。

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