2021.5.5 12:00

【ラグビーコラム】ある強豪校の指導者が端的に話す ラグビーを身近に感じられる喜び

【ラグビーコラム】

ある強豪校の指導者が端的に話す ラグビーを身近に感じられる喜び

特集:
ノーサイドの精神
コロナ感染対策を行い、2日には関東大学ラグビー春季大会の日大対明大が行われた

コロナ感染対策を行い、2日には関東大学ラグビー春季大会の日大対明大が行われた【拡大】

 【ノーサイドの精神】昨年は新型コロナウイルスのため、春シーズンのラグビーが軒並み中止になった。今年は欧州6カ国対抗に始まり、全国高校選抜大会、トップリーグ、関東大学春季大会などが開催されている。

 高校も各地で春季大会を続行している。東京は3回戦まで終了し、ベスト8が決まった。昨年の1年間で、コロナ下で大会を実施するためにどうすればいいか、試行錯誤しながら、他競技も含めてさまざまな知見が集まった。東京の春季大会も全試合無観客、グラウンドが密にならないよう、試合を終えたチームとこれからのチームの入れ替わりが重ならないようにするなど、感染予防対策をとりながらの開催だ。

 開催することの意義はいろいろあるが、大きな理由の一つを、ある強豪校の指導者が端的に話してくれた。

 「“部活命”という生徒もいるんですよ」

 ラグビーで身を立てたいと思っていても、試合がなければ、身を立てるためのとっかかりすらできなくなる。彼らにとってラグビーをプレーできる喜びは、ひとしおなはずだ。

 迎える側もそうだ。全国高校選抜、大学春季大会がなくなった昨シーズン、大学の指導者やトップリーグ(TL)の採用担当からは「どうすればいいのか」という当惑する声が聞こえた。幸い、秋以降の大会は実施されたが、リクルートのためには遅すぎる。今年の選抜は無観客だったが、手続きをした大学関係者の姿がちらほら見られ、開幕したばかりの春季大会にも複数のTL採用担当が来場した。「この時期にプレーを見られるのと見られないのでは、やはり違います」。採用担当の一人は、そうありがたがった。

 ラグビーの試合でクラスターが発生したことはないが、大学やTLでも中止となる試合が出てくるなど、まだ油断することはできない。全国にはびこりつつある変異株ウイルスの感染力は従来型より強いといわれ、さらなる警戒も必要だろう。そんな中であっても、ラグビーを身近に感じられることは、やはり喜ばしい。

田中浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の60歳。