2021.3.8 12:00

【ベテラン記者コラム(117)】にわかファンのためのラグビー英4協会随想

【ベテラン記者コラム(117)】

にわかファンのためのラグビー英4協会随想

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 ラグビーの欧州6カ国対抗は3月13日から後半戦に入る。この大会を構成している国は? もちろんイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、フランス、イタリアだ。

 「イングランド、スコットランド、ウェールズって、英国の地方の1つじゃないの?」

 そう思ったあなた、世界地誌的には正しい。ただ、ラグビーやサッカーの世界では、イングランド、スコットランド、ウェールズは1つの「国」として扱われる。ラグビーのイングランド協会は世界最古の1871年設立。「The Rugby Football Union」の正式名称は、ゴルフの全英オープンを「The Open」と呼ぶのと同じで、エスタブリッシュメントのプライドだ。

 今年で創立150年。そして、スコットランドとの最初のテストマッチも1871年。スコットランド協会設立が1886年なので、協会ができる前から対戦が始まったことになる。この世界最古のテストマッチは「カルカッタカップ」と呼ばれ、今年はイングランドのホームで聖地のトゥイッケナムでスコットランドが38年ぶりに勝ったことが話題となった。

 この3協会にアイルランドを加えて、よく「英4協会」と表記するが、「アイルランドは英国ではない」と思った方がいれば、それはそれで正しい。アイルランドは北部の一部が英国領で、残りの大部分がアイルランド共和国なのだが、ラグビーでは両方を合わせて1つの協会になっているのだ。ちなみにサッカーは北アイルランド協会、アイルランド協会に分かれている。

 筆者は1991年のラグビーW杯で、北アイルランドの中心都市ベルファストを訪れた。当時は反英武装組織のアイルランド共和軍(IRA)の活動もまだ活発で、ベルファストの空港をタクシーで出ると、機関銃が据え付けられた装甲車2両に出迎えられた。

 南半球への遠征のため4年に1度編成される英4協会代表の名が「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」。今年6月には日本が初めて対戦する予定だが、昔は「ブリティッシュ・ライオンズ」と呼んでいた。考えてみればアイルランドはグレートブリテンではないのだから、今の呼び方の方が長いけど正しい。誰かアイルランドの偉い人が抗議でもしたのだろうか。(田中浩)