2021.2.24 12:00

【ラグビーコラム】頭部への加撃は厳罰、欧州6カ国対抗で見えたWRの姿勢

【ラグビーコラム】

頭部への加撃は厳罰、欧州6カ国対抗で見えたWRの姿勢

特集:
ノーサイドの精神

 【ノーサイドの精神】2節を終えた欧州6カ国対抗で、2週連続でレッドカードが出た。1つ目は2月7日のウェールズ-アイルランドの前半13分、ブレークダウン(BD=タックル直後のボール争奪の局面)に突っ込んできたアイルランドFLオマホニーが、ウェールズPRフランシスの顔面に左肩を当てた。

 もう1つは14日のスコットランド-ウェールズで、後半13分にこれもBDでスコットランドPRファーガソンがウェールズPRジョーンズの顔面に右肩を当てた。

 共通するのは、ともにマイボールを確保しようとして勢いをつけてBDに加わってきたこと、直接肩が相手の顔面に当たったこと、アイルランド戦のバーンズ・レフェリー、スコットランド戦のカーリー・レフェリーともグラウンド上では判定せずビデオ判定によるテレビジョンマッチオフィシャル(TMO)からの指摘があったことだ。筆者もビデオで確認したが、肉眼でこれらを反則と認識するのは難しいかもしれない。

 国際統括団体のワールドラグビーでは、危険なプレーに対しての判定基準を定めている。肩から上の首や頭部への加撃行為はまずレッドカード。そして、相手が直前に体勢を崩して体が沈んだなど酌量の余地がある場合にイエローカード、さらにはペナルティーのみと厳しさを下げていく。よく選手やコーチらが「わざとじゃないよ」とアピールするが、故意か故意でないかは勘案されず、行為者の結果責任を問われるだけだ。

 ただ、以前だったらこの2つの事例ともイエローカード止まりだったかもしれない。WRが頭部への加撃に対して、厳しい姿勢を打ち出しているように感じられた。こうなってくると、選手たちはさらに精度の高いコンタクトスキルを身につけなければいけなくなるだろう。「激しさ」と「安全性」というある意味、二律背反しているもののどちらも満たすためには、自分が相手のどの部位に当たるのかという予測をこれまで以上に綿密にしなければならない。

 特にBDでは、コンタクトしようとする相手の露出している部分が頭部付近しかないということもあるし、一瞬の判断で飛び込まなければいけない場合も多い。それでも今後、こういうプレーには間違いなくレッドカードが出されるだろう。頭部への加撃は厳罰。指導者や選手は改めて肝に銘じてほしい。

 追記:2月21日のトップリーグ、キヤノン-NTTドコモで、後半16分にキヤノンLOデクラークがイエローカードを受けた。NTTドコモSO川向の頭部にタックルにいったように見えたが、TMOの結果、最初のコンタクトが肩に当たり、それがずれて顔面に入ったと判定され、レッドカードにはならなかった。「直接」ではないことがレッドカードから基準を下げる1つの例として、取り上げてみた。

田中浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の60歳。