第100回全国高校ラグビー大会決勝(9日、京都成章15-32桐蔭学園、花園)瞳に涙を浮かべつつも、満足感を漂わせた。京都成章の大黒柱、LO本橋拓馬(3年)は穏やかな表情で試合を振り返った。
「悔しいが、相手が強かった。やることはやった。胸を張って京都に帰りたい」
体格に勝る桐蔭学園の攻撃を「ピラニア・タックル」を代名詞とする伝統の防御で止め続けた。前半はほぼボールをキープされながらも10-10。「すべての局面で圧力を受け、消耗した」(本橋)と足が止まった後半、3連続トライなどで22点を奪われ、勝負は決まったが、終了直前に連続攻撃から最後は本橋がインゴールに右手をたたきつけ、5点を返して意地を見せた。
4度目の挑戦で初めて準決勝の壁を突破した今季、快進撃を支えたのが選手たちの自主性だ。大会中も自らミーティングを開き、2時間以上も意見を交わしてきた。
就任34年目の湯浅泰正監督(56)は「あかんかもしれないが、満足している。子供たちはよく成長してくれ、頼もしかった」と目を細める。
コロナ禍に翻弄された1年。京都成章に「自主性」という新たな武器が加わった。(月僧正弥)