2020.12.28 12:00

【ベテラン記者コラム(88)】高校ラグビー、無観客の花園の熱

【ベテラン記者コラム(88)】

高校ラグビー、無観客の花園の熱

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1回戦、桐蔭学園(神奈川) 対 茗溪学園(茨城)、後半、ボールを持って突進する桐蔭学園・佐藤健次(#8)=大阪府東大阪市の花園ラグビー場(撮影・林俊志)

1回戦、桐蔭学園(神奈川) 対 茗溪学園(茨城)、後半、ボールを持って突進する桐蔭学園・佐藤健次(#8)=大阪府東大阪市の花園ラグビー場(撮影・林俊志)【拡大】

 全国高校ラグビーが始まった。第100回の記念大会で、史上最多の63校が参加しながら、新型コロナウイルスの影響で開会式は行われず、観客も入れない。試合では選手たちの声がよく聞こえる。

 27日の1回戦、第1試合で勝った明和県央(群馬)の成田仁監督は「開会式がないのは、やっぱりさびしい。選手たちがそろって行進して、華やかじゃないですか。63校なら、なおさら」と残念がった。「ただ、試合をするという立場から言えば、開会式直後の試合はどうしてもバタバタになる。(開会式がなかったことで)準備がしっかりできた」とも話し「こんなきれいな芝の上で、試合をやらせていただき、勝つこともできた。テレビの画面越しでも、父母の方々に恩返しはできたのかな」と感慨深げだった。

 空気感だけでも味わいたいということか、花園ラグビー場周辺には、選手の親とおぼしき人たちがそれなりにいた。ただし、試合は見られない。みんなスマホの画面に見入っていた。このためにJ SPORTSと契約した方も、結構いたのではないか。

 2連覇を狙う桐蔭学園(神奈川)のNO・8佐藤健次主将は、こんなことを言っていた。

 「開会式がなかったとか、無観客とか、あまり気にしていなかった。自分たちが何をするかにフォーカスしているので」

 続けて、「ただ、(無観客で)少しフラットな感じになるのかなと思います」。関西のチームへの熱烈な声援がないことは、東のチームにとって“アウェー”ともなる花園でもう一度頂点を狙うためには、ちょっとしたメリットになるのかもしれない。

 秋に再開した欧州6カ国対抗や、新設されたオータムネーションズ杯では、無観客試合でも観客の声を効果音として流し、多少の臨場感を出していた。それもない花園だが、かえって選手の熱量は感じられる。

 1回戦が終われば、31チームがエリミネートされる。残った32校、優勝までは5試合。ここから、戦いはさらにヒートアップする。無事に大会が終わることを祈りたい。(田中浩)