【ホイッスル 吉田義人】
関東大学対抗戦(23日、慶大11-22早大、秩父宮)早大が勝った伝統の一戦を、元日本代表WTB吉田義人氏(51)は「引き締まった好ゲーム」と評価。対抗戦の優勝をかけた12月6日の早明戦は「がっぷり四つに組みながらも、緻密な戦いになる」と予想した。
お互いにディフェンスが非常によかった。引き締まった好ゲームになった要因だ。
慶大のディフェンスは前に出て相手のスペースを消し、やや外目からランナーに突き刺さるようなタックルで仕留める。相手にすれば、黄色と黒色の壁が押し上がってくるようなイメージだ。明大戦でもこの守備が効いて、1点差の勝利を収めた。早大に思うような攻撃をさせなかったのは、キーマンのCTB長田を、マークするCTB三木が封じ込めたことが大きい。
それでも、早大らしさを発揮したのが前半34分のWTB槙のトライ。キックを捕った相手を倒してラックを奪うと、左へ大きく振り、続いて右へと大きくボールを動かす代名詞の「ゆさぶり」で取り切った。後半のFB河瀬のトライもそうだが、早大の展開力が慶大の圧力をわずかに上回った。
コロナの影響で、練習自粛期間も生じるなど、今年は各校とも、これまで経験したことのないような、少ない準備期間で公式戦を迎えなければならなくなった。そんな中でも早大は、試合ごとに適材適所はどこかを探りながら、この早慶戦では主力の負傷者も戻り、強化が順調に進んでいる印象を受ける。
これで早明戦が対抗戦の優勝決定戦となった。かつて「縦の明治」「横の早稲田」と言われたが今年は少し様相が違ってくるのではないか。早大FWには明大重戦車に負けないぐらいの前進力があり、明大BKも展開力では早大に劣らない。いかに敵陣で試合をするかというエリアの取り方、時間のマネジメントまで含めた、力と技のぶつかり合いだけではない緻密な部分が、勝敗を分ける要素になるように思う。