2020.11.18 12:00

【ラグビーコラム】世界に衝撃を与えたオールブラックスのアルゼンチン戦初黒星

【ラグビーコラム】

世界に衝撃を与えたオールブラックスのアルゼンチン戦初黒星

特集:
ノーサイドの精神
ニュージーランドに勝利し、喜ぶアルゼンチンの選手たち(AP)

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 11月14日、シドニー西郊にある3万人収容のバンクウエスト・スタジアムで行われたテストマッチが、世界に衝撃を与えた。南半球の王座を争う「ザ・チャンピオンシップ」の第3戦、ニュージーランド(NZ)-アルゼンチン。アルゼンチンが25-15で勝つアップセットを演じた。

 両者は1985年の初対戦以降、NZが29戦全勝。アルゼンチンは30度目の対戦でついに悲願を果たしたのだ。NZは1週間前の第2戦でもオーストラリアに22-24で敗れており、テストマッチに2連敗するのは2011年8月に南アフリカとオーストラリアに連敗して以来、9年3カ月ぶりとなる。

 大方の下馬評は、NZが圧勝するだろうというものだった。新型コロナウイルスの感染拡大で、アルゼンチンは昨年のW杯1次リーグで敗退してから402日もテストマッチを戦っておらず、プロレベルの試合も3月以降は中止。代表は格下のチームと2試合こなしただけで今大会に臨んでいた。

 対するNZは、スーパーラグビーの国内大会を経て、テストマッチもこれが4試合目。試合経験の差は大きなものだったが…。

 アルゼンチンのマリオ・レデスマ・ヘッドコーチ(HC)は言う。

 「選手の中には、4カ月も家族と会っていない者もいた。素晴らしい勝利を誇りに思う」

 そして、おそらく大騒ぎになっているだろう母国を思い浮かべながら、「きっと誰かが、本を書いてくれるんじゃないかな」。

 レデスマHCは以前、オーストラリア代表のスクラムコーチをしており、そのコネクションで前オーストラリアHCのマイケル・チェイカ氏にサポートを頼んだ。NZを倒すことに血道を上げるオーストラリアのエキスも注入し、快挙を達成した。

 一方のNZ。メディアではすぐ「今はまだ指揮官解任のときではない」と、イアン・フォスターHC擁護論も流れた。しかし、日本でいえばプロ野球の巨人や阪神のように、いや、それ以上にファンの厳しい目が注がれるラグビー王国。世界ランキングも2位から3位に後退した。1週空いた28日のアルゼンチンとの再戦で、フォスターHCは自身の手腕に見切りをつけられる前に、王国としての実力を見せつけられるか。(田中浩)