2020.10.7 12:00

【ラグビーコラム】攻撃側の反則がとられやすくなった今季のキーワード「ウィン・ザ・レース」

【ラグビーコラム】

攻撃側の反則がとられやすくなった今季のキーワード「ウィン・ザ・レース」

特集:
ノーサイドの精神
日体大戦で突進する早大・丸尾

日体大戦で突進する早大・丸尾【拡大】

 10月4日に関東大学ラグビーが開幕した。勝敗とともに注目していたのが、ブレークダウン(BD=タックル直後のボール争奪の局面)でのレフェリーの判定だ。

 8月末のこのコーナーでも書いたが、ボールキャリアがタックルされた後、6月中旬に始まったスーパーラグビー(SR)のニュージーランド(NZ)大会では当初、これまでなら大目にみられていたほふく前進のようにして前へ進む行為や、余分に2~3回転がって距離を稼ぐようなプレー(総称してダブルムーブメントという)が反則をとられていた。

 さらに、タックルが成立した後に、防御側がジャッカル(タックルされて倒れたボール保持者から、立ちながらボールを手で奪うプレー。日本代表FL姫野がこの名称を有名にして、流行語大賞にもノミネートされましたね)に入ったとき、昨季まではボールをしっかりとらえたかに見えても、攻撃側が押し返してボールを出せた場合、攻撃を継続させることが多かった。これも攻撃側のノットリリースザボール(倒れたままボールを離さない反則)をしっかり取るようになった。

 BDにおける重要なファクターに「争奪」と「継続」があるが、「継続」を重視していたのを「争奪」重視に見直したといえる。必然的に攻撃側の反則は増える。

 開幕日は秩父宮での筑波大-慶大、早大-青学大を取材したが、梶原晃久、三井健太の両レフェリー(ともに日本協会公認)は、ダブルムーブメント、ジャッカルの部分での攻撃側の反則を多くとっていた。関東協会では毎週1度、レフェリーごとの判定のぶれが生じないよう、試合をレビューしながら“すり合わせ”するミーティングを続けていくという。

 国際統括機関のワールドラグビーが、再開したSRのNZ大会とオーストラリア大会、イングランド・プレミアシップの3大会で9月初めに調査した結果を発表。全PK数の中で守備側が占める割合はこれまで50%を超え、60%程度だったのが、今季は50%前後と低下している。数字の部分でも攻撃側の反則増が表れた。

 攻撃側の反則としてノットリリースザボール、オフザゲート(BDに横から入る行為。オフサイドのようなもの)、シーリング(倒れた味方ボールキャリアの上にかぶさるようにして相手にボールを与えないようにする行為)が増えたという。また、ラック形成からボールアウトするまでの平均時間は以前より0・2~0・4秒ほど短くなった。それだけプレースピードが速くなったことになる。

 開幕戦で青学大に苦戦した早大のNO・8丸尾崇真主将は「(ボールキャリアにサポートする)2人目が早稲田は遅く、青学は速かった。試合中にそこを修正しようとしましたが」と話す。指導者や選手はよく、「ウィン・ザ・レース」(競走に勝つ)という言葉を使うが、攻撃側のサポートプレーヤーが相手との走り合いで負けると、反則を取られる可能性が急上昇するのが今季の傾向といえる。(田中浩)