2020.7.31 12:35

【ベテランコラム(24)】第7回ラグビーW杯 国民の熱望とNZ伝説のFB 

【ベテランコラム(24)】

第7回ラグビーW杯 国民の熱望とNZ伝説のFB 

サントリーへの入団が決まったボーデン・バレット

サントリーへの入団が決まったボーデン・バレット【拡大】

 ラグビーのトップリーグにまた1人、大物がやってくる。サントリーへの入団が決まったニュージーランド(NZ)代表SOボーデン・バレットだ。キック、ランともに超一流。29歳にして代表キャップは83。世界年間最優秀選手に2度輝いた実績を持つ。今後、伝説のプレーヤーとしてその名をラグビー史に刻んでいくのだろう。

 バレットはFBとしてもプレーする。タイプは違うのだが、以前、NZの伝説のFBを取材したことがある。

 1990年代後半から2000年代前半、NZ代表やスーパーラグビーで活躍したクリスチャン・カレン氏(44)だ。20歳で代表デビューし、キャップ数は58。トライ数は同国代表史上2位の46。「オールブラックス(NZ代表)史上最速」と言われることもあり、爆発的な加速でスペースを駆け抜けていく映像は改めて見ても圧倒される。

 2011年夏、民間団体「日本ニュージーランドセンター」(大阪市)が高校生や教諭ら指導者を対象にNZの首都ウェリントン郊外にあるハット市で開催した海外キャンプを同行取材した。

 そのとき、コーチ役を務めていたのがカレン氏だった。現役時代は180センチ、85キロ。思っていたより小柄で、どちらかと言えば、シャイ。スーパースターのおごりを感じさせることなく、高校生たちを丁寧に教えていたのが印象的だった。

 私もゲーム形式の練習に参加させてもらい、一緒にプレーする機会があった。当時35歳のカレン氏の動きはやはり俊敏だった。

 この時期のNZは1カ月後に自国開催の第7回W杯開幕を控えており、国全体が第1回大会以来の優勝を熱望する空気に包まれていた。カレン氏の現役オールブラックスに期待する言葉も熱かった。

 実は、1週間の同行取材中、スーパーで財布を落としてしまったことがある。ホテルに戻ってから気づいたのだが、スーパーの方できちんと保管してくれており、無事返却してもらった。胸をなでおろすとともに、その親切心に感心したものだ。

 取材から2カ月後、W杯でNZが6大会ぶり2度目の栄冠に輝いた。悲願の実現。地元の熱や国民性を肌で感じていたからだろう、妙にうれしかったのを覚えている。(月僧正弥)