2020.7.1 12:00

【ラグビーコラム】「Black Lives Matter」がイングランド応援歌に飛び火

【ラグビーコラム】

「Black Lives Matter」がイングランド応援歌に飛び火

特集:
ノーサイドの精神

 【ノーサイドの精神】米国の黒人男性ジョージ・フロイドさんが、白人警察官に拘束され死亡した事件に対する抗議行動「Black Lives Matter」が世界中に燎原の火のごとく広がっている。ラグビー界では、思わぬ方向に飛び火した。

 イングランド代表のチャント(応援歌)として有名な「スイング・ロー・スイート・チャリオット」。昨年のW杯でも、イングランドファンがスタジアムで大合唱していた。

 Swing low,sweet chariot,

 Coming for to carry me home,

 Swing low,sweet chariot,

 Coming for to carry me home.

(静かに揺れておくれ、愛しいチャリオット、僕を迎えてふるさとに運んでおくれ)

 チャリオットとは、二頭立ての馬を用いた戦闘用の馬車のこと。実はこの歌、19世紀に黒人奴隷が作曲したといわれ、歌詞にもさまざまな解釈があるという。そんな背景があると知らず、大勢のファンがこの歌を合唱していることについて、イングランド協会(RFU)が調査に乗り出した。

 この歌が最初に歌われたのは、1987年にトゥイッケナムで行われた7人制のビッグイベント、ミドルセックス・セブンズだったといわれている。快足の黒人選手、マーティン・オファイアが素晴らしいランを見せたのにインスパイアされたファン(学生らしい)が歌い始めたという。オファイアは、アカデミー賞受賞映画「炎のランナー」(Chariots of Fire)からとられた“チャリオッツ”のニックネームがつけられていたことでひらめいたらしい。その後、テストマッチでも歌われ定番のチャントとなった。

 「Black Lives Matter」により英国でも、ブリストルにある奴隷商人の銅像が倒されるなど、いくつかの騒動が起きた。RFUの報道担当は「多くの人が起源や内容を知らずに歌っている。歴史的な背景を検証する」との声明を出した。ただ、共同通信によれば当のオファイア氏は、「禁止したらより分裂を生む」と冷静に対処することを願っているそうだ。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の59歳。