2020.6.17 12:00

【ラグビーコラム】再開スーパーラグビー、厳しくなった「タックル後」の判定基準

【ラグビーコラム】

再開スーパーラグビー、厳しくなった「タックル後」の判定基準

特集:
ノーサイドの精神

 【ノーサイドの精神】新型コロナウイルスの世界的感染拡大のため中断していたスーパーラグビー(SR)で、6月13日にニュージーランド(NZ)国内大会「アオテアロア」(NZを指すマオリ語。白く長い雲がたなびく国の意)が始まった。13日はハイランダーズ-チーフス、14日はブルース-ハリケーンズが行われ、いずれもホームのハイランダーズ、ブルースが白星発進した。

 プロレベルのスポーツでは、世界に先駆けて観客を入れて行われたこの2試合。ともにスタンドは満員に近いファンで埋まった。近年、SRは観客減に悩まされていたが、ラグビー王国でいかに再開が待ち望まれていたかがわかる。

 この試合でスターたちのパフォーマンス以上に注目されたのは、ブレークダウン(BD=タックル後のボール争奪の局面)でのレフェリーの判断基準だった。ワールドラグビーは4月上旬に、BDに関するガイドラインを世界に発信。競技規則上の変更はなく、「規則を徹底する」という趣旨だ。

 中でも、最も厳しく見えたのは、ボールキャリアがタックルされた後の行為で、これまでは大目にみられていた、ほふく前進のように四つんばいで前に進んだり、横に2~3回転がって距離を稼いだりという、「エキストラロール」と呼ばれるプレーが反則を取られていたことだ。ハイランダーズ戦で主審を務めたポール・ウィリアムス・レフェリーは、昨年のW杯でも笛を吹いており、BDに神経を使い、かなりじっくり見極めようとしていた。

 特にエキストラロールに関しては、倒された反動で前に動いた以外、余分に前進した行為は全てペナルティーを取った。1度は「タックルが成立したのはここ。君が余分に進んだのはここ」とでも言うように、タックル成立地点とそこより2メートルほど前進した地点を指さしながら、諭すような場面もあった。

 WRのガイドラインでは、タックルされたボールキャリアについて「ボールをすぐに置くか、プレーをしなければいけない-転がったり、腹ばいで動いたり、跳ねたりするなど、次の動きをする時間は認められるべきではない」と記されている。倒れた相手から立ってボールを奪い取る、FL姫野(トヨタ自動車)が得意な「ジャッカル」も、ボールに一瞬でもがっちり手が入れば、ボールキャリアのノットリリースザボールの反則(これまでは手が入ったように見えても、相手側に押されて手が離れてしまえば反則にならないことが多かった)に。ガイドライン発表後、世界で初めてのトップクラスの試合だっただけに、これがスタンダードになると、ウィリアムス氏のレフェリングにもかなり気合が入っているように感じた。

 ラグビーの反則のうち90%近くはBDで起きるという統計もある。この2試合の反則数は28と30。これまでより50%以上増加したが、プレーヤーは学習する。今後は反則が減り、すっきりしたBDがさらにラグビーをスペクタクルにしてくれるはずだ。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の59歳。