2020.5.20 13:00

【ラグビーコラム】ゴールポストの“パッドはがし”が規則変更を生んだ!?

【ラグビーコラム】

ゴールポストの“パッドはがし”が規則変更を生んだ!?

特集:
ノーサイドの精神

 【ノーサイドの精神】5月12日(日本時間13日)に、ちょっと変わった規則変更が発表された。国際統括団体のワールドラグビー(WR)が、ゴールポストをカバーするパッドと地面に同時にグラウンディング(ボールを接地させる行為)した場合に認められていたトライを、認められないようにしたのだ。

 トライはラグビーの華だが、こんな地味なルール(ラグビーではロー=法律=という用語を使う)があったことを知る人は、そんなに多くないのではないか。トライの定義は、攻撃側の選手が相手側選手より早く相手側インゴール(ゴールラインも含む)にボールをグラウンディングすれば得られる。ルール上はゴールポストもゴールラインとみなされ、ゴールポストと地面(ゴールラインより手前でもよい)に同時にグラウンディングすればトライが認められたのだ。

 ゴールポストは金属製や木製のため、危なくないようにカバーするようになった。大昔は布、やがてスポンジやウレタンなどで覆うようになったが、ポストの根元の十数センチは覆われずにポストがむき出しというグラウンドもあった(かつてはそれでも、さほど危険ではなかった)。だが、ラグビーがフィジカルになり、安全への配慮の意識も高まって、カバーはどんどん厚くなり、根元ももちろん覆われるようになった。いまや「パッド」と呼ばれるほどで、ルール上は30センチまでゴールラインから張り出すことが認められている。

 ルールでも、パッドはゴールポストと一体ということで、地面とパッドに同時にグラウンディングすればトライが認められた。しかし、ゴールラインより30センチも手前。これが“くせ者”だった。

 攻撃側が相手ゴール前でがんがんラックサイドを攻めているとき、守る方のオフサイドラインはゴールライン上であることがほとんど。30センチの“空白”は大きく、ラックをゴールポストに近づけて、パッドへのトライを狙うチームも出てくるのは当然の流れだ。

 守備側も“対抗”して、プレー中にパッドをはがしてしまう行為が、たびたび見られるようになった。筆者もトップリーグと大学の試合で計3度、生でそんなシーンを見た覚えがある(うち1度ははがした選手にイエローカード。危険行為ということらしい)。ラグビーは不合理に見えても意外と合理的なのだが、このパッドへのトライだけは大きな矛盾があると思っていた。

 この“パッドはがし”は欧州や南半球、スーパーラグビーやテストマッチなどでも見られ、世界的な現象となった。そんな風潮をWRも看過できなくなり、安全を担保するためにはパッドへのトライを認めなくするのがいいとなった。「パッドはゴールラインの延長上にあるものではないため」としているが、“パッドはがし”が大きなきっかけになったと思われてならない。