2020.1.15 12:00

【ラグビーコラム】TL開幕戦、各地の「熱」がラグビー専用競技場建設の後押しとなる

【ラグビーコラム】

TL開幕戦、各地の「熱」がラグビー専用競技場建設の後押しとなる

特集:
ノーサイドの精神
パナソニック-クボタの前半、自身2本目のトライを決めるパナソニックのWTB福岡堅樹

パナソニック-クボタの前半、自身2本目のトライを決めるパナソニックのWTB福岡堅樹【拡大】

 【ノーサイドの精神】1月11日、大学選手権決勝が、新設されたばかりの国立競技場で行われた。ラグビーとしては初開催のこの試合、5万7345人の大観衆でスタンドは埋まった。

 早大と明大が両校合わせて11トライと、見応えある内容で、早大が45-35で勝利。11大会ぶりの優勝を遂げた。試合は白熱したが、筆者も初めて訪れたこのスタジアムに抱いた印象は、「遠い」だった。

 旧国立競技場もそうだったが、陸上トラックをはさんでの観戦。一般の観客とメディアの動線が重ならないようになっているのは、かなり考えてあった。ただ、記者席はメインスタンドの右寄りにしつらえてあり、バックスタンド側左奥のゴールライン付近での攻防などは、かなり小さくなってしまうのが難点だ。

 この翌日、トップリーグ(TL)開幕戦のパナソニック-クボタの取材で、埼玉・熊谷ラグビー場を訪れた。昨秋のW杯の会場でもあったラグビー専用スタジアム。前日との比較もあってか、メインスタンド上部の記者席からでも「近い」と思った。

 W杯閉幕直後の昨年11月、萩生田光一文部科学相が閣議後の記者会見で、「ラグビー専用競技場は国内で数えるほどしかない。サッカーのための競技場が多いが、ラグビー優先の環境をつくらなければW杯のレガシー(遺産)が残らない」と専用スタジアムの新設に前向きな意向を示した。新国立競技場の五輪、パラリンピック後の利用についても別の機会に「基本的には球技専用スタジアムに改修する方向性で継続して検討を続けていきたいと思っている」とも述べている。

 新国立競技場の“トラック問題”に関しては、政府が2017年に、トラックをなくして改修する方針を決めたが、一部スポーツ関係者に見直しの動きが出ていた。

 神宮第2球場を解体した跡地に移設予定の秩父宮ラグビー場は、来年にも着工の予定という。最終的には神宮球場と入れ替わる形となって、それが完了するのが31年といわれている。

 見やすく、キャパシティーも多いラグビー専用スタジアム建設の機運を継続するためには、その必要性を世に訴えないといけない。12日のTL開幕戦には、全国6会場に開幕戦として史上最多となる延べ11万人を超える観客が訪れた。この「熱」を今後も冷まさないことが重要だ。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の59歳。