2019.12.18 12:23

【ラグビーコラム】帝京大がまさかの大学選手権初戦敗退“ぬるかった”シーズンの反省を来季にぶつける

【ラグビーコラム】

帝京大がまさかの大学選手権初戦敗退“ぬるかった”シーズンの反省を来季にぶつける

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ノーサイドの精神
試合に敗れ、肩を落とす帝京大の選手

試合に敗れ、肩を落とす帝京大の選手【拡大】

 【ノーサイドの精神】敗軍の将は兵を語らなかった。

 「実力不足。相手のいいランナーを止められなかった。積み上げてきたことがまだまだ甘かったです」

 15日の大学選手権3回戦で、一昨季まで9連覇を果たした元王者の帝京大が、流通経大との点の取り合いの末、39-43で敗れた。大学選手権初戦敗退は2006年度、W杯日本代表SHの田中史朗がいた京産大に1回戦で7-10で負けて以来、13季ぶり。岩出雅之監督は、「お通夜みたいにしたくない」とあえて柔和な笑みも浮かべながら、冒頭のコメントを発した。

 冷たい強風が吹きつけた熊谷。試合開始の流通経大のキックオフを弾いた相手ボールのラインアウトから、あっさり先制トライを取られた。その次のキックオフからは相手WTBイノケ・ブルアに50メートル以上も走られ、そこから連続トライにつなげられた。この試合ではブルアに何度もロングゲインを許した。V9時代には考えられなかった守備の乱れ。

 1年生から主力として活躍したWTB木村朋也の言葉に、ヒントが見えた。

 「タックルを『やらなくてはいけない』ものではなく、『みんなのためにやりたい』ものに変える」

 帝京大がV9を達成するまでのチームになった背景の一つには、“気づき”のマインドがあった。自分がチームのため、お互いのために何をすることが最善なのか。上級生はグラウンド外でも、態度でそれを示し、それが伝統となって盤石の強さを築き上げた。その役目を担う4年生が、今季は経験不足。この日はCTBやFLを務めた本郷泰司主将の負傷欠場も重なった。後半22分までに形成を逆転し、39-31とリードしながら、残り11分で2トライを許しての黒星は、修正能力やコミュニケーション能力の不足といわれても仕方がない。

 木村は続けて言った。

 「タイジさん(本郷主将)一人で頑張っていた感じで、任せっ切りにしてしまったところはある。正直、練習の雰囲気などはぬるかった。根底の部分からチームをもっといいものに変えていかないといけない。僕らの代は1年から試合に出ているものが多いので、それを還元しないと」

 岩出監督は「今年の4年生は、厳しいところを体験していない。先輩たちの汗や悔しさを、まだこの選手たちは感じていなかった」と総括した。そして「いい勉強になりました。来年は強くします」。来年2月で62歳になる指揮官が、闘志をあらわにした。 

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の58歳。