2019.12.4 12:00

【ラグビーコラム】「ONE TEAM」の定義とは

【ラグビーコラム】

「ONE TEAM」の定義とは

特集:
ノーサイドの精神
準々決勝で南アフリカに敗れ、W杯を終えた日本代表。「ONE TEAM」になって初の8強入りを果たし、列島を歓喜の渦に巻き込んだ

準々決勝で南アフリカに敗れ、W杯を終えた日本代表。「ONE TEAM」になって初の8強入りを果たし、列島を歓喜の渦に巻き込んだ【拡大】

 【ノーサイドの精神】12月2日に発表された新語・流行語大賞の年間大賞に、ラグビーW杯で日本代表がスローガンにしていた「ONE TEAM(ワンチーム)」が選ばれた。ラグビーに携わるものとして、うれしい限りだ。

 今回のW杯では、日本のファンは外国ファンのラグビーの楽しみ方を知り、外国ファンは日本人が重きを置く礼儀、礼節の部分に注目してリスペクトしてくれた。ラグビーのよさと日本のよさが広く知られた。違う文化を楽しみ、尊重することで、それぞれがハッピーになれる。そんなことを教えてくれた。「ワンチーム」の受賞も、そういう流れの中でのできごとと、とらえることもできるだろう。

 「ワンチーム」の初出はジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)の就任から約1カ月後の2016年10月28日。欧州遠征メンバーの発表会見でのことだ。15年W杯代表が12人で、初代表は17人。新旧メンバーが混在する中で、「一体感のある組織を目指そう」と選手らも加わって決めたものを、ジョセフHCが自ら発表した。

 今では、いろいろなところで耳にするようになった。2020年東京五輪のマラソン会場が東京から札幌に変更されたときには、小池百合子東京都知事が使った。安倍晋三首相も、ことあるごとに口にしている(気がする)。

 だが、ラグビー日本代表の「ワンチーム」と、似て非なるものになってはいないか。HO堀江翔太は、こんなことを言っている。

 「言葉を使えばワンチームになれるというわけではない。どういうふうにワンチームにするかが大事。中身をしっかり考えて使ってほしい」

 日本代表が「ワンチーム」になるまでの過程、彼らがチームに対して抱く心情などで、「ワンチーム」という言葉は定義づけされており、それ以外のなにものでもない。ただ今後、「ワンチーム」が人口に膾炙(かいしゃ)するにつれ(特に政治家によって)、定義が変質していってしまうおそれがある。

 しかし、4年後のW杯で、ジョセフHCに再び率いられた日本が今回以上の戦いを見せてくれたら…。「ワンチーム」の真の姿を、われわれは思いだすことができるはずだ。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の58歳。