2019.9.25 11:37

【ラグビーコラム】みんなで祭りを楽しもうじゃないか!!

【ラグビーコラム】

みんなで祭りを楽しもうじゃないか!!

特集:
ノーサイドの精神
南アフリカ戦を前に、伝統の踊り「ハカ」を披露するニュージーランド代表

南アフリカ戦を前に、伝統の踊り「ハカ」を披露するニュージーランド代表【拡大】

 【ノーサイドの精神】W杯がいよいよ始まった。世界中が待ちに待ったお祭りだ。いろいろな国から来た人々と、いろいろなところで会うことができる。これまで1987、91年の第1、2回ラグビーW杯、90年サッカーW杯、94年リレハンメル五輪などの大きな国際大会を取材したが、二十数年ぶりにそのときの感覚を思いだした。

 ニュージーランド-南アフリカが行われた21日、会場の新横浜へ向かう電車の中で、黒いジャージーを着たファン、濃緑ジャージーのファンが楽しそうに話していた。「悪いけど、きょうこそ南アフリカが勝つ」「そうかな、フフフ…」。黒ジャージーの方が、心なしか余裕の表情。結果はご存じの通りだ。

 突然「ゴー オールブラックス!」の叫び声が聞こえたと思ったら、すかさず「ゴー ボクス(南アフリカ代表の愛称スプリングボクスを縮めたもの)!」と応戦。違う方からは「ゴー ジャパン!」という声も上がった。「電車の中では静かにするのが日本のマナーだよ」などとやぼなことを言うつもりはない。40日間、こういう風景が見られるのもW杯だ。

 試合での選手入場の際のBGMは和太鼓の生演奏。キックオフや、負傷者などが出て中断されたときの再開時では、「いよ~ぉ」のかけ声が場内に流れる。そのたびにスタンドは沸く。前後半の40分が経過したときのホーンの代わりには、銅鑼の音。和のテイストは彼らには大好評で、帰りの電車で「いよ~ぉ」をまねする外国人も、予想通りにいた。

 そんな彼らと、コミュニケーションをとる一般の日本人もよく見かける。話しかけられた中学生が、一生懸命に英語を話している姿はほほえましかった。「グッド イングリッシュ」とかぶっていたキャップをもらった中学生くんは、困ったような顔をしていた。

 海外からくるファンはかように、騒がしいけどフレンドリーだ。敵チームのファンとも仲よく交われる(試合が終わってもそう)のも、ラグビーのよき文化だと思う。日本のみなさんも、ぜひ彼らとコミュニケーションをとってほしい。「ダイバーシティー」という言葉が昨今、よく言われるが、多様な価値観を肌で感じるチャンスでもある。ともかく、みんなで祭りを楽しもうじゃないか。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の58歳。